2015/9/9

自動車

ロシア、ガソリンスタンドにEV充電設備の設置を義務付け

この記事の要約

ロシア政府は1日、ガソリンスタンドに対して来年10月までに電気自動車(EV)用の充電設備設置を義務付ける政令を発布した。EVの普及促進が目的だが、「減税や補助金など追加的な措置が実施されなければ、ガソリンスタンド運営者の […]

ロシア政府は1日、ガソリンスタンドに対して来年10月までに電気自動車(EV)用の充電設備設置を義務付ける政令を発布した。EVの普及促進が目的だが、「減税や補助金など追加的な措置が実施されなければ、ガソリンスタンド運営者の経費拡大を招くだけ」との批判も出ている。

ロシア自動車市場におけるEVは、ほぼ無視してよいほどの少数派だ。これまでの販売総数はわずか500台。人気中古車販売サイト「auto.ru」に掲載されている自動車6万台弱のうち、EVは18台と極めて少数にとどまっている。

普及の障壁としてはまず、最安値のEV「ELラーダ」でも120万ルーブル(1万7,700米ドル)と多くの国民にとっては高嶺の花であることが挙げられる。減税措置など政府の積極的な普及策なしには手が届かない。

また、取り扱い販売店などの情報が不足していることもある。購入しようとすれば、まず販売店から調べなければならず、納期の目安もつかない。インフラ面では、充電スタンドだけでなく、交換部品の流通網や修理・保守サービス網も確立していない。

さらに、冬のロシアでは充電池の消耗が激しく、航続距離を確保できないことも懸念だ。

普及が進んでいないことを反映し、統一モスクワ電力網(MSRS)がパイロットプロジェクトとして運営する無料充電スタンドは利用者が少なく、フル稼働するには至っていないという。

今回の充電スタンド設置令は、EV普及に必要な布石の一つではある。ただ、設置費用は全額、ガソリンスタンド運営者の負担。フル充電まで9時間かかる安い設備は10万ルーブル(1,480ドル)で手に入るが、充電時間30分の高速モデルは350万ルーブル(5万1,720ドル)と高額だ。現状では、果たして実用に耐える充電スタンド網が整備できるのかに疑問が残る。(1RUB=1.86JPY)