2015/9/9

チェコ・スロバキア

スロバキアの日系企業、事業環境を評価も進出後の政府の対応を希望

この記事の要約

スロバキアに進出する日系企業は、同国の高い労働生産性や欧州連合(EU)加盟国への近接性といった立地条件などを投資先としての利点として挙げる一方で、進出した企業の要望を新しい政策措置へ反映させることが難しいといった問題や、 […]

スロバキアに進出する日系企業は、同国の高い労働生産性や欧州連合(EU)加盟国への近接性といった立地条件などを投資先としての利点として挙げる一方で、進出した企業の要望を新しい政策措置へ反映させることが難しいといった問題や、賃金の上昇などの課題があるとみていることが分かった。2日付の現地紙『Spectator』によると、勤勉な国民性や高い外国語能力、充実したサプライヤーのネットワークなど投資先としての同国の評価は概して高いという。

スロバキアへの投資促進などを手がけるスロバキア投資貿易開発局(SARIO)が、2002年から14年にかけて成約に関与した日本からの投資案件は全部で12件。投資額は累計で2億5,400万ユーロに上り、3,000人以上の雇用を創出してきた。在スロバキア日本大使館関係者がSpectatorに対し述べたところによると、最近導入された労働法制の変更が日系企業に悪影響を及ぼしているとの声があり、事前に外国企業の意見を取り入れる機会を設ける必要性があるなど改善すべき点はあるものの、同国の事業環境に対する評価は高いという。

ただ、最近では日系企業が同国の工場を閉鎖する事例も出ている。パナソニックは14年10月にブルーレイディスクの録画再生機などを生産する現地工場の閉鎖を発表。15年3月には住友電装スロバキアも同社工場の一部閉鎖を明らかにしていた。その理由について江川駐スロバキア大使は同紙に対し、賃金の高騰や、グローバルな次元での事業戦略の変更などが背景にある可能性を示唆した。これに関しSARIOの広報担当者ディーレル氏は一企業が複数の生産国で生産している場合の生産国間での競合や特定製品の市場の縮小といった理由を挙げる。同氏は事業環境に問題がある場合にはSARIOや各政府機関が問題を処理するよう努めると述べた。

一方、日本企業による新規の投資も続いている。今年6月には自動車用ブレーキなどを生産する曙ブレーキが北西部トレンチーンで新工場を開設した。

SARIOによると、外国からの投資を今後呼び込むことができるセクターはロジスティックス部門であるという。ディーレル氏は「同部門に日本からの投資を呼び込むことができれば、他の分野でもスロバキアに対する日本企業の投資が促進されるだろう」と述べた。