欧州連合(EU)の欧州委員会がドイツの最低賃金法を対象にパイロット手続き(EU Pilot)を開始した。同手続きは加盟国間の争いの早期解決に向けた制度。解決に至らない場合は欧州委が違反調査手続き(infringement procedure)に踏み切ることになる。週刊誌『シュピーゲル』が報じ、独連邦労働省が23日追認した。
ドイツでは時給を最低8.5ユーロとする法律が1月1日付で施行された。同法はドイツ国内を走行する国外企業のトラック運転手にも適用されていることから、ポーランドやハンガリーなど周辺諸国が欧州委に苦情を申し立てた。
ドイツ政府は自国領内では外国人にも国内法を適用する属地主義の立場で最低賃金法を運用している。このため国外のドライバーであってもドイツ国内を走行する時にはドイツの最低賃金を適用。ポーランドなどドイツよりも人件費が大幅に低い国の運送業者はコスト負担が増えて悲鳴を上げている。入国前にドイツの税関に事前申告しなければならないルールも重荷となっている。