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2015/1/28

ゲシェフトフューラーの豆知識

企業年金引き上げルールで最高裁判決

この記事の要約

企業年金(Betriebsrente)受給者の平均寿命が長いことを理由に企業などは支給額の引き上げ率を抑制することができるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年9月に判決(訴訟番号:3 […]

企業年金(Betriebsrente)受給者の平均寿命が長いことを理由に企業などは支給額の引き上げ率を抑制することができるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年9月に判決(訴訟番号:3 AZR 402/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はエッセン連合(Essener Verband)という企業団体に加盟する企業を退職したOBが同団体を相手取って起こしたもの。同団体の企業年金支給規則には、加盟企業が退職者に支給する企業年金の額を定期的に吟味し、物価変動など状況の変化に適応させるとの条項がある。

エッセン連合は2008年1月1日付および09年1月1日付の企業年金引き上げの際に、同団体加盟企業のOBの平均寿命が公的年金受給者の平均寿命よりも長いことを理由に引き上げ率をそれぞれ0.765%引き下げ1.4%、2.5%とした。原告はこれを不当として提訴した。

1、2審は原告の言い分をほぼ認める判決を下し、最終審のBAGは全面勝訴を言い渡した。判決理由でBAGの裁判官は、加盟企業OBの平均寿命が公的年金受給者の平均寿命よりも長いことを理由に企業年金の上げ幅を抑制することは、契約当事者のうち給付を決定する側の者(ここでは被告エッセン連合)は「公正な裁量に基づいて(nach billigem Ermessen)」決定を下さなければならないとする民法典(BGB)315条1項の規定に反するとの判断を示した。

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