EUにおける金融政策

コロナワクチン・治療薬開発、欧州委が10億ユーロ拠出

新型コロナウイルスの治療薬やワクチンなどの開発を促進することを目的とする国際会議が4日、EUの欧州委員会の主導で開催された。

会議に参加した約40の国・地域の首脳や国連、慈善団体などが開発支援への拠出を約束し、総額74億ユーロの資金が集まった。

欧州委は10億ユーロを拠出する。

独憲法裁がECBの量的緩和を問題視、独中銀の国債購入停止も

独憲法裁が問題視したのは、ECBが2015年から実施している量的金融緩和のうち、ユーロ圏の国債を各国の中央銀行を通じて買い取る措置。

量的金融緩和をめぐっては、ドイツの学者らが重債務国の放漫財政を助長するもので、EU基本条約に定められたECBの権限を逸脱するなどとして反発し、独憲法裁に提訴。

欧州司法裁は18年に合法とする判決を下したが、独憲法裁が再び判断することになっていた。

ノルウェー中銀が追加利下げ、ついにゼロ金利に

ノルウェー中央銀行は7日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、過去最低の0%にすることを決めたと発表した。

西欧最大の産油国であるノルウェーは、新型コロナの影響で景気が悪化しているほか、原油安が経済を大きく圧迫している。

中銀は3月、2度にわたって緊急利下げを実施し、1.5%だった政策金利を1.25ポイント引き下げ、0.25%としていたが、経済が通常の状態に戻るまで時間がかかるとして、追加利下げを決めた。

欧州委が銀行の資本規制緩和を提案、苦境の企業・個人への融資促進へ

欧州委員会は4月28日、欧州連合(EU)の銀行に対する資本規制の一部を暫定的に緩和することを提案した。

銀行が新型コロナウイルス感染拡大で厳しい状況にある企業や個人に積極的に融資し、経済を下支えするのが目的で、融資額を最大で4,500億ユーロ上積みすることを目指す。

このほか、自己資本の基本的項目(ティアー1)を非リスクベースのエクスポージャー(与信額)を除して算出するレバレッジ比率に関する規制も緩和し、銀行の中央銀行の預金をエクスポージャーから除外することなども提案した。

ECBが銀行にマイナス1%で長期資金供給へ、政策金利と資産購入規模は据え置き

長期資金を貸し付ける条件を緩和し、最低マイナス1%の超低金利で資金を供給する。

ECBは市中銀行を対象とした長期資金供給オペ(TLTRO-III)について、今年6月から1年間、最低マイナス1%の低利で資金を貸し出し、金利負担を肩代わりする。

一方、量的緩和政策に関しては、3月に導入した20年末までに国債などの資産を追加で7,500億ユーロ(約89兆円)購入する新たな資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」の規模を維持する。

欧州委が銀行の資本規制緩和を提案、苦境の企業・個人への融資促進へ

欧州委員会は4月28日、EUの銀行に対する資本規制の一部を暫定的に緩和することを提案した。

銀行が新型コロナウイルス感染拡大で厳しい状況にある企業や個人に積極的に融資し、経済を下支えするのが目的で、融資額を最大で4,500億ユーロ上積みすることを目指す。

このほか、自己資本の基本的項目(ティアー1)を非リスクベースのエクスポージャー(与信額)を除して算出するレバレッジ比率に関する規制も緩和し、銀行の中央銀行の預金をエクスポージャーから除外することなども提案した。

ECBによる資金供給、ジャンク債も担保に

欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた緊急政策理事会で、ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保となる債券の要件を緩和すると発表した。

ECBは3月、新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)を拡大し、最低でマイナス0.75%という低利で銀行に長期資金を融通することを決めたが、銀行の適格担保が枯渇すれば十分に機能しなくなる。

今回の決定によって銀行の担保余力がさらに増え、ECBから資金を調達しやすくなり、融資力が強化される。

EU首脳会議がコロナ「復興基金」創設で合意、詳細は欧州委が策定へ

欧州連合(EU)加盟国は23日に開いたテレビ首脳会議で、新型コロナウイルス感染が収束した後の域内経済の再建を支援する「リカバリー・ファンド(復興基金)」を創設することで合意した。

欧州委に策定を要請することで合意した。

欧州委が復興基金の財源の一部を確保するため、独自に市場で資金を調達する用意があることも明らかにした。

ECBによる資金供給、ジャンク債も担保に

欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた緊急政策理事会で、ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保となる債券の要件を緩和すると発表した。

ECBは3月、新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、「TLTRO」と呼ばれる長期資金供給オペ(金融機関が融資を増やすことを条件に長期資金を供給するオペ)を拡大し、最低でマイナス0.75%という低利で銀行に長期資金を融通することを決めたが、銀行の適格担保が枯渇すれば十分に機能しなくなる。

今回の決定によって銀行の担保余力がさらに増え、ECBから資金を調達しやすくなり、融資力が強化される。

EU首脳会議がコロナ「復興基金」創設で合意、詳細は欧州委が策定へ

EU加盟国は23日に開いたテレビ首脳会議で、新型コロナウイルス感染が収束した後の域内経済の再建を支援する「リカバリー・ファンド(復興基金)」を創設することで合意した。

欧州委に策定を要請することで合意した。

欧州委が復興基金の財源の一部を確保するため、独自に市場で資金を調達する用意があることも明らかにした。

ユーロ圏が5400億ユーロの経済対策で合意、「コロナ債」発行は見送り

ユーロ圏19カ国は9日に開いた財務相会合で、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響を最小限に抑えるため、総額5,400億ユーロ規模の経済対策を実施することで合意した。

財務相会合ではESMの4,100億ユーロに上る融資枠を新型コロナ対応に活用し、各国の要請に応じて予防的な特別信用供与枠を設けることで合意した。

ユーロ圏共同債を発行し、コロナ危機で苦境に陥っている国の財政を支援するのが目的だ。

ユーロ圏が5400億ユーロの経済対策で合意、「コロナ債」発行は見送り

ユーロ圏19カ国は9日に開いた財務相会合で、新型コロナウイルスの感染拡大が経済に及ぼす影響を最小限に抑えるため、総額5,400億ユーロ規模の経済対策を実施することで合意した。

財務相会合ではESMの4,100億ユーロに上る融資枠を新型コロナ対応に活用し、各国の要請に応じて予防的な特別信用供与枠を設けることで合意した。

ユーロ圏共同債を発行し、コロナ危機で苦境に陥っている国の財政を支援するのが目的だ。

ECBが銀行の担保基準緩和、コロナ危機に総力戦で対応

ユーロ圏の銀行がECBから資金供給を受ける際の担保基準を緩和し、幅広い資産を担保として受け入れる。

ECBは新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするため、3月12日に量的金融緩和を拡大し、年末までに新たに総額1,200億ユーロの資産を買い取ることを決定。

銀行の融資能力増強に向けた今回の追加措置は、TLTROなどECBの資金供給プログラムを利用する際に適用される。

投資ファンドの報告期限、ESMAが延長を勧告

欧州証券市場監督庁(ESMA)は9日、EU域内で活動する投資ファンドの運用者に義務付けている運用報告書の提出期限に関連して、各国当局に対し、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて加盟国が実施している外出制限措置を考慮して対応するよう要請した。

2019年12月期の年次報告書については2カ月、半期報告書は1カ月の期限延長を勧告した。

例えばUCITSファンドの運用者は、監査済みの年次報告書を会計期間の終了日から4カ月以内(19年12月期の場合は4月末まで)、半期報告書を2カ月以内(2月末まで)に提出する必要がある。

伊政府、4千億ユーロ規模の追加経済対策決定

銀行の融資を公的に保証することで貸し倒れリスクを軽減し、4,000億ユーロ以上の市中に資金が出回るようにする。

銀行の法人向け融資の90%を政府が保証する。

伊政府は3月、新型コロナ感染拡大を受けた経済活動の停滞に対応するため、総額325億ユーロ規模の経済対策を発表したばかり。

仏などEU5カ国、空売り禁止を延長

フランスとスペイン、ベルギー、オーストリア、ギリシャの金融監督当局は15日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う株価の急落を受けて実施している株式の空売りを一時的に禁止する措置を延長すると発表した。

EUでは一部の国が、株式を実際に保有せずに売り注文を出す投機的な空売りが新型コロナウイルス問題を受けて加速し、株安を増長させているとして、空売りを禁止している。

フランス、スペイン、ベルギー、オーストリア、ギリシャは足並みをそろえ、5月18日まで期限を延長する。

EUが雇用維持へ1千億ユーロの融資制度創設、欧州委は「ドイツモデル」推奨

欧州委員会は2日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けるEU企業の雇用を維持するため、総額1,000億ユーロ規模の融資制度を創設する計画を発表した。

市場から調達した資金を加盟国に低利で貸し付け、各国政府が実施する雇用対策を支援する。

加盟国は業績悪化に直面しながら雇用維持に努める企業に対してさまざまな支援策を打ち出しているが、欧州委は1人当たり労働時間を短縮して従業員の解雇を回避するドイツ型のモデルを採用するよう促している。

EU当局、域内の保険会社に配当・自社株買い中止を要請

欧州保険年金監督局(EIOPA)は2日、域内の保険会社に対し、配当支払いや自社株買いを一時的に停止するよう要請した。

EIOPAは声明で「保険会社と再保険会社は困難な状況に置かれても保険契約者を保護し、潜在的な損失を吸収できるよう、高いレベルの自己資本を確保し続ける必要がある。同時に現行の報酬制度や慣行を見直し、それらが慎重な資本計画と現在の経済状況を反映したものかどうかを確認する必要がある。現状では報酬ポリシーの業績連動部分は保守的なレベルに設定したうえで、支給見合わせを検討すべきだ」と指摘。

一方、ミュンヘン再保険は20年3月期の業績予想を下方修正したうえで、自社株買いは撤回するものの、配当金は予定通り支払う方針を示している。

英大手銀が20年中の配当中止を表明、新型コロナ対応で英中銀が要請

バークレイズやHSBCホールディングスをはじめとする英国の大手銀行は3月31日、少なくとも2020年末まで株主への配当支払いを中止すると発表した。

PRAは声明で「株主は配当金を受け取れなくなるが、経済が混乱する中で銀行が果たすべき役割を考えると、これは賢明な予防的措置だ」と各行の決定を歓迎した。

新型コロナウイルス問題への対応をめぐっては、欧州中央銀行(ECB)も3月27日にユーロ圏の銀行に対し、少なくとも10月まで株主への配当支払いや自社株買いを控えるよう要請した。

コロナ危機経済対策の合意見送り、ESM活用に独など難色=EU首脳会議

また、イタリア、スペイン、フランスなど9カ国は「コロナ債」と呼ばれる共同債をユーロ圏が発行し、苦境に陥っている国の財政を支援する案をとりまとめ、ミシェルEU大統領(欧州理事会常任議長)に合意に向けた努力を要請する書簡を首脳会議前日の25日に送付。

首脳会議終了後に出た共同声明には、具体的にESMには言及しなかったものの、合意を見送った経済対策の詳細を2週間以内に提案するようユーロ圏財務相会合に指示する文言が盛り込まれた。

一方、今回の首脳会議では、コロナ危機を管理するシステムの拡充や、感染拡大防止に向けた移動制限など特別措置を危機終息後に解除する「出口戦略」の策定にEU全体で着手することなどで合意した。

ECBがユーロ圏の銀行に配当・自社株買い中止を要請、新型コロナ対応で資本温存

新型コロナウイルスの感染拡大で銀行の業績悪化が懸念される中、資本を温存して損失への備えや中小企業などへの支援を優先させるのが狙い。

ECBは声明で「新型コロナウイルスの感染拡大による損失を吸収するため資本を温存すると共に、深刻な打撃を受ける家計や小規模事業者の資金繰りを支援するため、銀行の株主に対しても協力を期待したい」と強調した。

ECBは3月12日に開いた定例理事会で、新型コロナウイルスの感染拡大による域内経済への悪影響に対応するため、量的緩和政策を年末までに1,200億ユーロ拡大すると決定した。

EU財政規律の適用を一時停止、加盟国が承認

EU加盟国は23日に開いた財務相会合で、新型コロナウイルスの感染拡大による危機に対応するため、EU加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止することを承認した。

EUの財政規律を定めた安定成長協定は、各国に毎年の財政赤字を国内総生産(GDP)比3%以内に抑えることなどを義務付けているが、欧州委員会は景気悪化で税収の大幅な落ち込みが予想される中、同ルールに縛られていれば各国が新型コロナウイルス問題に十分に対応できないとして、20日に財政規律の適用停止を加盟国に勧告していた。

これが承認されたことで、例外的な状況では赤字が上限を超えることを容認する「一般免責条項」が発動され、各国は医療体制の拡充など新型コロナウイルス感染封じ込め対策に必要な財政措置を自由に講じることができるようになる。

ECBが追加量的金融緩和を緊急決定、新たに7500億ユーロの資産購入

国債などの資産を2020年末までに追加で7,500億ユーロ(約89兆円)購入する。

さらに、ユーロ圏各国の国債の3分の1以上は購入せず、各国のECBへの出資割合に応じて購入するという自主規制を解除し、柔軟に買い取りを進めることを決めた。

資産購入は新型コロナウイルス危機が終息したと判断するまで続けるが、少なくとも年末まで実施する。

欧州委が公的補助規制を緩和、新型コロナ対策で

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にある企業を支援するため、欧州連合(EU)の公的補助規制を一時的に緩和することを加盟国に提案した。

政府の補助金で企業を下支えする体制を強化するのが狙いで、各国が1社に最大50万ユーロを交付できる制度などを導入する。

EUの公的補助ルールでは、加盟国による企業への補助金交付などが、競争政策上の観点から厳しく制限される。

ECBが追加量的金融緩和を緊急決定、新たに7500億ユーロの資産購入

国債などの資産を2020年末までに追加で7,500億ユーロ(約89兆円)購入する。

さらに、ユーロ圏各国の国債の3分の1以上は購入せず、各国のECBへの出資割合に応じて購入するという自主規制を解除し、柔軟に買い取りを進めることを決めた。

資産購入は新型コロナウイルス危機が終息したと判断するまで続けるが、少なくとも年末まで実施する。

英中銀が緊急追加利下げ、国債・社債の購入枠も拡大

英中央銀行のイングランド銀行は19日、政策金利を0.15ポイント引き下げ、0.10%にすると発表した。

量的緩和策を拡大し、国債や社債の購入枠を2,000億ポンド増やして総額6,450億ポンド(約83兆円)とすることも決めた。

定例の金融政策委員会は今月25日に開催され、26日に政策が発表される予定だ。

新型コロナ対策で「あらゆる措置」、ESM活用も=ユーロ圏財務相会合

各国が財政出動で対応するほか、ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)の資金も活用する方針だ。

テレビ会議方式で開かれた今回のユーロ圏財務相会合では、こうした方針を歓迎した上で、新型コロナウイルス問題が社会、経済に及ぼす影響を極小化するため、「必要なあらゆる措置を講じる」とする声明を採択した。

センテノ議長(ポルトガル財務相)は会合後の記者会見で、どのように実施するかを欧州委とESMに検討するよう要請したことを明らかにした。

EU財政規律の適用を一時的に停止、欧州委が提案

欧州委員会は20日、EU加盟国の財政赤字を厳しく制限する財政規律の適用を一時的に停止することを加盟国に提案したと発表した。

「一般免責条項」を発動し、各国が新型コロナウイルス対策に無制限で財政出動できるようにする。

欧州委は新型コロナウイルスの感染拡大が各国の経済、社会に大きな影響を与えている事態が同条項に該当すると判断した。

欧州委が公的補助規制を緩和、新型コロナ対策で

欧州委員会は17日、新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にある企業を支援するため、EUの公的補助規制を一時的に緩和することを加盟国に提案した。

政府の補助金で企業を下支えする体制を強化するのが狙いで、各国が1社に最大50万ユーロを交付できる制度などを導入する。

EUの公的補助ルールでは、加盟国による企業への補助金交付などが、競争政策上の観点から厳しく制限される。

EU金融規制当局が空売り規制強化か、新型コロナによる株式市場動揺で

ESMAはEU内で取引される株式を売買する投資家に対して、空売り残高が対象銘柄の発行済み株式の0.2%を超える場合に報告を義務付けている。

ESMAは株式を実際に保有せずに売り注文を出す投機的な空売りが新型コロナウイルス問題を受けて加速し、株安を増長させることを警戒し、今回のルール改正を決めた。

一方、フランスとイタリア、スペイン、ベルギーの証券監督当局は17日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う株価の急落を受けて、空売りを一時的に禁止する措置を発動した。

欧州委が医療物資の共同備蓄計画を発表、当初予算は5000万ユーロ

欧州委員会は19日、新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、人工呼吸器やマスクなどをEU加盟国が共同で備蓄する計画を発表した。

EU予算を活用してホスト国が効率的に医療品の調達を行い、感染者に必要な医療品が届くシステムを構築する。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「EUとして初となる緊急医療物資の共同備蓄制度を導入し、欧州の連帯を行動に移す。これはすべての加盟国とEU市民の利益につながる。相互に助け合う以外に道はない」と強調した。

新型コロナ対応で370億ユーロの経済対策

欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための経済対策として、医療制度や中小企業への支援策、雇用対策などに総額370億ユーロを投じる方針を発表した。10日に250億ユーロの財政出動を打ち出したが、感染拡大がEU経済に及ぼす影響を考慮し、規模を拡大する。また、加盟国が状況に応じて積極的な経済対策を講じることができるよう、国家補助や財政規律に関するルールを緩和する方針を示した。
今回の措置は、EU首脳が10日に開いたビデオ会議で合意した対策を拡充したもの。当初はEU予算から最大250億ユーロの基金を設ける方針だった。新型コロナの影響で最も打撃を受ける業界や中小企業を重点的に支援し、冷え込む景気を下支えする。小売、観光、輸送業など域内の約10万社を対象に、最大80億ユーロの融資保証を実施することや、感染拡大の影響で解雇された労働者や廃業に追い込まれた事業主に対する支援策として、欧州グローバル化調整基金から2020年に最大1億7,900万ユーロを拠出することなどを盛り込んだ。
感染拡大に伴い経済活動が停滞すると、資金の調達手段が乏しい中小企業は資金繰りが困難になって倒産しかねない。こうした事態を回避するため、企業に対する補助金交付を厳しく制限している国家補助規定を緩和し、加盟国が思い切った対策を取れるようにする。具体的には賃金補助の交付や、法人税や付加価値税(VAT)、社会保険料の納付期限の延長、さらにイベントの中止に際して企業が運賃やチケットの払い戻しに応じなかった場合、代わりに公的資金で補てんすることなどが可能になる。
さらにEUの厳格な財政規律ルールを弾力的に運用し、新型コロナへの対応で経済対策を導入する場合、安定成長協定を一時的に適用しない方針を打ち出した。新型コロナウイルスの感染拡大を「政府がコントロールできない異常事態」とみなし、対策関連の支出によって財政赤字が国内総生産(GDP)比で基準の3%を上回った場合でも、加盟国に規律違反で是正を求めることはしない。
欧州委のフォンデアライエン委員長は「新型コロナの感染拡大は医療制度にとって未曾有の危機であるだけでなく、欧州経済にとって極めて大きな衝撃だ。EUはこの危機を乗り越えることができると確信しているが、すべての加盟国が完全にそれぞれの責任を果たし、EUが結束して行動する必要がある」と強調。「状況に応じて追加的な対策を講じる用意がある」と述べた。

ECBが新型コロナ対応で追加金融緩和、量的緩和・銀行への資金供給拡大

新型コロナウイルスの感染拡大で揺れるユーロ圏経済を下支えするのが目的で、量的金融緩和と銀行への資金供給を拡大する。

このため、ECBのラガルド総裁は2日、「適切な措置」を講じる用意があるとする声明を発表し、追加金融緩和を予告していた。

さらに、ノルウェー中銀は13日、政策金利を0.5ポイント引き下げて、1.0%にすると発表した。

新型コロナ対応で370億ユーロの経済対策、国家補助規定や財政規律を弾力運用

欧州委員会は13日、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するための経済対策として、医療制度や中小企業への支援策、雇用対策などに総額370億ユーロを投じる方針を発表した。

こうした事態を回避するため、企業に対する補助金交付を厳しく制限している国家補助規定を緩和し、加盟国が思い切った対策を取れるようにする。

さらにEUの厳格な財政規律ルールを弾力的に運用し、新型コロナへの対応で経済対策を導入する場合、安定成長協定を一時的に適用しない方針を打ち出した。

独政府、企業の資金繰り支援は無制限で

ドイツ政府は13日、新型コロナウイルスの流行で大きな影響を受ける企業の支援策を発表した。

政府は受注の急減などに直面した企業の雇用を守るために操短手当の支給基準を年末まで緩和する時限法案を10日に了承した。

融資支援の総額には上限を設けないとしており、新型コロナの直撃を受けたために手元の資金が枯渇して倒産する企業の発生を防止する意向だ。

ECB総裁、新型コロナ対応で「適切な措置」の用意

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2日、新型コロナウイルスの感染拡大がユーロ圏経済を圧迫する状況に対応するため、「適切な措置」を講じる用意があるとする声明を発表した。

一方、ユーロ圏では各国の財務相が5日に電話会議を開き、新型コロナウイルスの感染拡大への対応について協議した。

協議後に発表された声明によると、各国は感染拡大がサプライチェーンの混乱を招くなど、ユーロ圏経済に大きな打撃を与える恐れがあるため、協調して財政出動を含むあらゆる措置を講じることで一致。

欧州委が財政規律緩和検討、新型コロナ感染の伊など対象に

欧州委員会は新型コロナウイルスの感染が拡大しているイタリアなどユーロ圏の国に対して、EUの財政規律の柔軟な運用を適用することを検討している。

ただ、不測の事態に直面した場合は、特例的に同ルールを柔軟に運用し、関連支出を赤字として勘定しないことがある。

欧州委はイタリアなどが感染防止や景気対策に多額を支出できるようにするため、財政規律の特例措置を適用する方向で検討中。

EU首脳会議、次期中期予算で合意できず

加盟国は20、21日に開いた臨時首脳会議で同問題を協議したが、離脱した英国の拠出がなくなることで財源に穴が開くことから予算縮小を主張する一部の国と、補助金確保のため増額を求める国が対立し、合意に至らなかった。

ミシェルEU大統領(欧州理事会常任議長)は臨時首脳会議を前にした15日、妥協案として次期予算をGNI比1.074%の約1兆900億ユーロとする案を提示した。

これを受けてミシェルEU大統領は、21日に再開した会議で、純拠出国側に配慮してGNI比1.069%とする案を出したが、双方からまったく相手にされず、計30時間近くに及んだ協議は溝が埋まらないまま終了した。

「MiFIDⅡ」修正に向け協議開始、欧州委が「統合テープ」構築提案

欧州委員会は17日、より安全で安定的な金融システムの構築を目的とした金融規制「第2次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)」の修正に向けた公開協議を開始した。

MiFIDⅡは金融危機後の金融規制改革の一環として、2018年1月に施行された金融・資本市場の包括的な規制。

MiFIDⅡの見直しではプラットフォームを横断して銘柄や取引価格、執行市場名など直近の取引情報を表示する統合テープシステムの構築が「最優先課題」であり、「市場データへのアクセスを民主化するための大きな一歩」と説明。

EUの租税回避地ブラックリスト、新たに4カ国・地域指定

EUは18日に開いた財務相理事会で、租税回避対策に非協力的な国・地域を列挙する「ブラックリスト」に英領ケイマン諸島、パラオ、パナマ、セーシェルの4カ国・地域を追加することを決めた。

EUでは加盟国が独自にタックスヘイブン(租税回避地)のリストを作成し、対象となる税法域の監視を行ってきたが、2017年12月の財務相理で初めてEU共通のブラックリストを承認した。

英領ケイマン諸島は英国がEUを離脱したため、今回のリスト見直しで対象国に指定された。

英離脱後の金融アクセスめぐり攻防、EUは「恒久的な同等性評価」を否定

英国のEU離脱をめぐる交渉でEU側の代表を務めるバルニエ首席交渉官は、11日に欧州議会で行った演説で、英国の金融規制がEUと同水準だと認定する「同等性」の評価について、英国に対して「恒久的な同等性」を認めることはないと発言した。

英政府はEU離脱の移行期間終了後も金融サービス分野でEU市場へのアクセスを維持するため、EUに対して「今後数十年にわたる永続的な同等性評価」を要求する方針とみられ、3月に開始予定の通商交渉を前に英側をけん制した格好だ。

EUは金融サービス市場へのアクセスについて「自ら決定する裁量権を維持する」と強調し、英国に対して「全般的・包括的・恒久的な同等性」を認めることはないと明言した。

欧州委、財政ルールの見直しに着手

欧州委員会は5日、欧州連合(EU)の財政ルールの見直しに着手したと発表した。財政規律が厳しすぎ、成長を阻害しているといった批判が出ていることを受けたもので、問題を点検してルールを改革し、現状に即して効率的に機能するように

欧州委、財政ルールの見直しに着手

欧州委員会は5日、EUの財政ルールの見直しに着手したと発表した。

財政規律が厳しすぎ、成長を阻害しているといった批判が出ていることを受けたもので、問題を点検してルールを改革し、現状に即して効率的に機能するようにしたい考えだ。

ただ、ルール緩和をめぐっては、これまでも財政規律順守を重視するドイツなどが、放漫財政の国の尻ぬぐいをさせられるとして反発しており、合意形成は難しいとの見方が出ている。

英中銀が金利据え置き、移行期間後の金融緩和に含み

ただ、EU離脱後の急激な変化を避けるための「移行期間」が終了する2020年末以降の状況が読めないため、経済成長が軌道に乗らない場合は金融緩和を実施する可能性を示唆した。

20年の実質成長率も金融危機以降で最も低い0.8%にとどまるとの予測を示し、「国内外の経済指標に前向きなシグナルが持続しない場合、英成長率の回復見込みを強化する政策が必要になるだろう」と指摘した。

来年以降にEU離脱が経済成長の重しになる可能性があると指摘し、金融政策で成長を下支えする必要があるか見極める方針を示した。

ECBが金融政策の戦略見直しに着手、物価目標値や気候変動対応を検討

欧州中央銀行(ECB)は23日開いた定例理事会で、金融政策の戦略見直しに着手することを正式決定した。

ECBが金融政策の戦略見直しに着手するのは17年ぶり。

ラガルド総裁は理事会後の会見で「経済が劇的に変化するなか、ECBが欧州の利益を最優先して任務を遂行するため、今こそ抜本的な戦略見直しが必要だ」と指摘。

ECBが金融政策の戦略見直しに着手、気候変動対応も検討

欧州中央銀行(ECB)は23日開いた定例理事会で、主要政策金利を据え置くと共に、金融政策の戦略見直しに着手することを正式決定した。

ECBが金融政策の戦略見直しに着手するのは17年ぶり。

ラガルド総裁は理事会後の会見で「経済が劇的に変化する中、ECBが欧州の利益を最優先して任務を遂行するため、今こそ抜本的な戦略見直しが必要だ」と指摘。

ECBがデジタル通貨研究で日銀などと連携、「リブラ」普及に備え知見共有

日銀や欧州中央銀行(ECB)など6カ国・地域の中央銀行と国際決済銀行(BIS)は21日、中銀デジタル通貨(CBDC)の発行を視野に、それぞれが進めているデジタル通貨についての研究で得られた知見を共有する新たな組織を立ち上げたと発表した。

CBDCの利用可能性を共同研究する新組織に参加するのは日銀、ECB、イングランド銀行、カナダ銀行、スウェーデン中銀のリスクバンク、スイス国民銀行とBIS。

米連邦準備理事会(FRB)や、すでにデジタル通貨の発行を検討している中国の中銀である中国人民銀行は参加していない。

英清算機関のEU市場アクセス維持、6月末までに評価完了=ESMA

欧州証券市場監督機構(ESMA)のマイヨール長官は9日、英国に拠点を置くデリバティブ(金融派生商品)の清算機関について、英国のEU離脱後も在EUの顧客にサービスを提供するための条件を満たしているかどうかの評価を6月末までに完了できるとの見通しを示した。

ただし、最終的にはEUと英国の通商交渉によって決まると述べ、EU規制の枠組みから離脱する以上、たとえ大部分のEUルールを維持したとしても、英国の金融サービスが自動的にEU市場にアクセスできるわけではないとくぎを刺した。

2020年末の移行期間終了後にEU内に拠点を置く金融機関がLCHなど英国の清算機関を利用できなくなり、デリバティブ取引の決済処理が滞って市場に深刻な影響が及ぶことがないよう、EUと英国は6月末までに同等性評価の作業を完了することで合意している。

ESM機能強化などユーロ圏改革、首脳会議が決定見送り

遅くとも2020年6月の首脳会議で改めて取り上げる方針を確認し、ユーロ圏19カ国の財務相に対し、欧州安定メカニズム(ESM)の機能強化などについて合意形成を図るよう求めた。

今月5日のユーロ財務相会合ではESMの機能強化で原則的に合意したものの、救済を受けた国の公的債務の再編プロセスに関する条項の改定をめぐって調整がつかず、首脳会議での合意を断念していた。

一方、首脳会議ではユーロ圏共通予算についても協議したが、予算規模をめぐって加盟国間の溝が埋まらず、最終合意に至らなかった。

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