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2011/9/16

企業情報 - 自動車メーカー

スズキがVWに提携解消を申し入れ、VWは資本提携を継続の方針

この記事の要約

スズキと独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が2009年12月に締結した包括提携が約2年の短期間で解消に向かう見通しだ。スズキは12日、VWとの業務提携および相互資本関係を解消することを取締役会で決定したと発表した。 […]

スズキと独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が2009年12月に締結した包括提携が約2年の短期間で解消に向かう見通しだ。スズキは12日、VWとの業務提携および相互資本関係を解消することを取締役会で決定したと発表した。独日刊紙『フランクフルターアルゲマイネ』などによると、VWの広報担当者はこれに対し、「今後もスズキの株式を保持する意向であり、協力関係にも関心を持っている」との姿勢を示している。

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VWは現在、スズキ株(議決権総数ベース)の19.89%を保有し、スズキもVWに1.5%を出資している。VWはスズキとの提携を通して、小型車の生産技術や、アジアの新興国市場での販売強化に期待を寄せていた。一方、スズキはVWとの提携を通して環境関連技術の強化などを見込んでいた。

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しかし、両社の協力関係は具体化に至らず、今年7月には、スズキの原山保人副社長が会見でVWがスズキへの影響力を拡大しようとしているとの認識を示すなど、両社の溝は深まっていた。

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スズキは提携解消の理由として、「互いに独立したイコールパートナー」としての関係を持つことができず、業務提携の目的の達成も困難な状況であることを挙げている。

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メディア報道によると、スズキが先ごろ伊自動車大手のフィアットからディーゼルエンジンの供給を受けることを決めたことに対し、VWが提携契約に違反するとして抵抗姿勢を示したことが提携解消を決める決定打となったもよう。スズキは12日付けのプレスリリースの中で、経営判断における「自主独立」は競争力を維持するためには不可欠なものであると説明している。

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スズキは資本関係を解消するため、VWからスズキの保有株を買い取る意向を示している。しかし、スズキの株価は現在、提携当時の価格を約30%下回っていることから、VWが同社の株式を売却する可能性は低いとみられている。

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■ VW、ポルシェとの経営統合に遅れ

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スズキによる提携解消の申し入れに先駆けた8日、VWとポルシェは今年末に予定していた両社の経営統合を断念する方針を明らかにした。ポルシェが以前にVWの買収を試みた際に不正取引をしたとの疑惑が浮上し、米国とドイツで巨額の損害賠償をめぐる係争が起きていることが背景にある。係争の見通しが不透明なことから、経営統合の実現は難しいと判断した。

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ポルシェのマティアス・ミュラー社長は12日、フランクフルト国際モーターショー(IAA)の会場で、株式を一定の期間に一定の価格で取引できるプットオプション(売る権利)およびコールオプション(買う権利)の行使により、VWがポルシェの事業会社であるポルシェAG(AG=株式会社)を買収する可能性があることを示唆した。両社は当初、ポルシェAGの親会社である持ち株会社ポルシェ・ホールディングSE(SE=欧州会社)とVWの経営統合を計画していた。

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同権利は2012年末~2015年初めにかけて行使できる。ただし、同取引を実施すると巨額の税金がかかることから、税金控除を考慮して2014年半ば以降に実現する可能性が高いと見られている。

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