2010/12/6

総合 –EUウオッチャー

来年のユーロ圏成長率、財政緊縮で1.5%に鈍化=欧州委予測

この記事の要約

欧州委員会は11月29日発表した秋季経済予測で、ユーロ圏(2011年にユーロを導入するエストニアを含む17カ国)の2010年の実質域内総生産(GDP)成長率を1.7%とし、春季予測(5月)の0.9%から大幅に上方修正した […]

欧州委員会は11月29日発表した秋季経済予測で、ユーロ圏(2011年にユーロを導入するエストニアを含む17カ国)の2010年の実質域内総生産(GDP)成長率を1.7%とし、春季予測(5月)の0.9%から大幅に上方修正した。しかし、各国の財政悪化を受けた厳しい財政緊縮策が本格化する2011年については1.5%に減速すると予想している。(表参照)

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2011年の予想成長率は春季から据え置き。2010年は4-6月期に前期比1%と予想を超える伸びを示したことから上方修正したが、11年は各国の緊縮政策に伴う公共投資抑制、増税などで個人消費、設備投資が圧迫されることに加え、世界経済の減速により輸出が伸び悩むことから、成長鈍化が必至としている。12年には個人消費が持ち直し、1.8%まで回復すると予想する。

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EU27カ国ベースの予想成長率は2010年が1.8%で、春季の1%から上方修正。11年は1.7%に据え置いた。12年は2%の成長を見込んでいる。

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2011年の予想を国別にみると、ドイツは2.2%と10年の3.7%を下回るものの、堅調を維持する見通し。フランスは1.6%、イタリアは1.1%と、前年並みの成長が見込まれる。これに対して財政悪化が深刻な国では、ギリシャがマイナス3%と、引き続き低迷するほか、ポルトガルが1%のマイナスに転落する見通し。ギリシャに続いてEU、国際通貨基金(IMF)から緊急金融支援を受けるアイルランドは0.9%と小幅の成長となる。スペインも0.7%と低成長だ。北部の主要国と南欧諸国で明暗がはっきり分かれる状況で、欧州委のレーン委員(経済通貨問題担当)は「欧州で一定の二極化があることを認めざるを得ない」とコメントした。

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一方、ユーロ圏の2011年の財政赤字は、2010年の域内総生産(GDP)比6.3%から同4.6%に縮小するが、EUの財政規律で上限に定められている同3%を大きく上回る。信用不安に直面する国ではアイルランドが10.3%、ギリシャが7.4%、スペインが6.4%、ポルトガルが4.9%。ギリシャを除いて政府の目標を達成できない見通しだ。

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