2011/4/11

欧州ビジネスウオッチ

米モリコープ、エストニアのレアアース加工会社買収

この記事の要約

レアアース(希土類)の生産を手がける米資源会社のモリコープ・ミネラルズは4日、エストニアのレアアース加工会社シルメットの経営権を取得したと発表した。中国の輸出規制でレアアースの供給不安が世界的に高まる中、欧州に生産拠点を […]

レアアース(希土類)の生産を手がける米資源会社のモリコープ・ミネラルズは4日、エストニアのレアアース加工会社シルメットの経営権を取得したと発表した。中国の輸出規制でレアアースの供給不安が世界的に高まる中、欧州に生産拠点を確保することで生産能力を拡大し、安定供給を目指す。

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モリコープは、シルメットの発行済み株式の90.023%を親会社であるシルメット・グルップなどから取得。取得金額は8,900万米ドルだった。シルメットは欧州に2社あるレアアース加工会社の1つで、レアアースを年間3,000トン、レアメタルを同700トン加工している。同社は現在、原料となる鉱石をロシアから輸入しているが、買収後はモリコープのマウンテン・パス鉱山(カリフォルニア州)から鉱石の供給を受ける。モリコープの現在のレアアース生産能力は年間約3,000トン(希土類酸化物換算)だが、シルメットを傘下に収めることにより、同6,000トンに倍増する。

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レアアースは17元素の総称で、電気自動車やノートブック型パソコン、ミサイル誘導システムなどに使用されている。世界のレアアース供給の95%を占める中国は、国内需要の増加を背景に昨年から輸出を制限しており、日米欧の先進工業国にとってレアアースの安定調達は大きな課題となっている。

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