2011/4/11

環境・通信・その他

無線ICのプライバシー保護で自主協定、業界側が発売前のリスク評価に合意

この記事の要約

欧州委員会は6日、無線IC(RFID)利用の際のプライバシー保護の指針について、関連業界、消費者団体、欧州ネットワーク情報セキュリティ機関(ENISA)および各国当局との間で自主協定を結んだと発表した。RFIDに対する消 […]

欧州委員会は6日、無線IC(RFID)利用の際のプライバシー保護の指針について、関連業界、消費者団体、欧州ネットワーク情報セキュリティ機関(ENISA)および各国当局との間で自主協定を結んだと発表した。RFIDに対する消費者の信頼を向上させるため、企業はRFID技術を利用した製品を市場に投入する前にプライバシーや個人情報保護に関するリスク評価を行い、必要な措置を講じることが協定の柱。これにより、企業は自社製品がプライバシーおよび個人情報保護に関するEU指令を順守しているとの法的確実性を与えられ、同時にプライバシー面で消費者保護が強化される。

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RFIDは無線識別信号を発信するICチップと、その信号を受信してチップを識別する装置を使って人や物の情報を瞬時に識別するソリューションで、交通輸送、物流、小売り、医療、金融、公共サービスなど幅広い分野で導入が進んでいる。

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欧州委によると、今年は世界全体で約28億個のRFID関連製品が販売され、欧州市場での売り上げがその3分の1を占める見通し。さらに2020年までに全世界でおよそ500億個が流通すると予測されている。ただ、非接触認証という特性から、RFIDに記録された情報が気づかないうちに他人に読まれてしまう可能性があり、プライバシーや個人情報の保護が重要な課題になっている。

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欧州委は急速な市場拡大に対応するため、プライバシーと個人情報を保護しながらRFID技術の導入を促進する必要があるとして、07年にRFID分野におけるEUの戦略を発表。これに沿って09年にRFIDの安全性とプライバシーの扱いに関する勧告をまとめ、関連する業界および各国の監督当局として連携して指針の策定を進めていた。「 RFIDの活用におけるプライバシーとデータ保護の影響評価に関する枠組み(PIA枠組み)」と名付けられた自主協定は、同勧告を実現させる具体策の1つとして合意された。

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欧州委のクルース副委員長(デジタルアジェンダ担当)は声明で「消費者のプライバシー保護をRFID技術の中心に据え、製品が市場投入される前に確実に問題を排除することを確約した今回の画期的な合意を歓迎する。業界側が消費者や当局と連携してプライバシーや個人情報に関する懸念の払しょくに取り組み、自主協定にこぎつけたことは、同じような問題を抱える他の業種にとって良い見本になる」とコメントしている。

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