欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/31

EU情報

鉄道テロ対策で車内や駅の警備強化へ、欧州9カ国が連携強化で合意

この記事の要約

欧州主要9カ国は29日、パリで内相や運輸担当相などによる会合を開き、鉄道を狙ったテロを防止するため、治安当局者による駅構内や列車内の警備を強化することで合意した。国境をまたいで走行する長距離列車の乗車券に乗客の氏名を表示 […]

欧州主要9カ国は29日、パリで内相や運輸担当相などによる会合を開き、鉄道を狙ったテロを防止するため、治安当局者による駅構内や列車内の警備を強化することで合意した。国境をまたいで走行する長距離列車の乗車券に乗客の氏名を表示することなども検討する。

欧州では今月21日、オランダのアムステルダムからパリに向かう国際高速列車の車内でモロッコ国籍の男が自動小銃を発砲する事件が発生。乗車していた米軍の兵士などが男を取り押さえたものの、乗客1人が重傷を負った。容疑者は拳銃のほか銃弾およそ270発、さらに爆発物や刃物も所持していたことが判明し、仏当局は無差別テロを企てたとみて捜査を続けている。2001年の米同時多発テロ以来、空港の安全対策は世界規模で強化されたが、今回の事件を機に欧州では鉄道の安全対策への関心が高まっている。

パリでの会合はこうした動きを受けて開かれたもので、フランス、英国、ドイツ、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、イタリア、スペイン、スイスの担当相が出席した。声明文によると、9カ国は鉄道テロを防止するため、相互に連携を強化して対策を推進する方針を確認。国際列車が乗り入れる主要駅を中心に、必要に応じて乗客の身元確認や荷物検査を実施することや、銃規制の強化に向け、欧州委員会に対して年内に具体策をまとめるよう要請することなどで一致した。

カズヌーブ仏内相は会議後の会見で「標的になりやすい特定の路線を中心に、各国が連携して同時に監視する体制を整えることが不可欠だ」と指摘。危険人物を早期に特定できるようにするため、各国当局による情報共有システムの更新を進めていることを明らかにした。