欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/31

EU情報

グーグルが欧州委に反論、検索サービスめぐり

この記事の要約

米グーグルは27日、インターネット検索市場で同社が公正な競争を阻害した疑いがあるとして、欧州委員会が今年4月に異議告知書を送付したことを受け、同委の見解に反論する回答書を提出した。欧州委は150ページにおよぶ回答書の内容 […]

米グーグルは27日、インターネット検索市場で同社が公正な競争を阻害した疑いがあるとして、欧州委員会が今年4月に異議告知書を送付したことを受け、同委の見解に反論する回答書を提出した。欧州委は150ページにおよぶ回答書の内容を精査したうえで、早ければ年内にも結論を出す見通し。最終的に競争法違反と認定された場合、グーグルは最大で60億ドルに上る制裁金を科されるほか、検索アルゴリズムの修正などを迫られる可能性がある。

欧州委はグーグルが欧州のネット検索市場における支配的地位を乱用し、検索結果を自社に有利になるよう操作していると主張する競合他社からの訴えを受け、2010年に本格調査を開始した。同委はグーグルが検索結果ページで自社の商品価格比較サイト「グーグルショッピング」を優先的に表示することで、競合するサービスを不利な立場に置き、結果的に消費者の選択肢を狭めているとの見方を強めている。グーグルは制裁を回避するため、過去2年間で3回にわたり、検索結果で競合企業のロゴやリンク先のサイトを目立たせるなどの改善策を提示したが、利害関係者に意見を聞く市場テストでは「対応が不十分」との苦情が多く寄せられ、和解合意に至らなかった。

欧州委への回答書をまとめたグーグルのケント・ウォーカー上級副社長はブログへの投稿で、「異議告知書で示された見解は事実関係、法律、経済のいずれの側面からみても誤っている」と主張している。同氏はまず、欧州委は米アマゾンやイーベイなど、電子商取引市場で急成長を遂げてきたオンライン小売業者の影響力を考慮していないと指摘。また、欧州では電子商取引サイトへのトラフィックが過去10年間で227%増を記録しており、グーグルが公正な競争を阻害してライバルに損害を与えたとする欧州委の指摘には根拠がないと反論している。同氏はさらに、欧州委がグーグルに対し、商品価格比較サイトの広告スペースにライバルの広告を掲載するよう求めている点について、提供するサービスが「電気・ガスといった公益サービスと同等の重要性」を持つ場合を除き、「義務付けには正当性がない」と主張している。

ネット検索市場におけるグーグルのシェアは米国の66%に対し、欧州では90%に上る。米連邦取引委員会(FTC)もグーグルの検索ビジネスが独占禁止法に違反したとの疑いで、11年から調査を進めていたが、同社の商慣行が消費者に損害を与えたことを示す証拠は見つからなかったとして13年に調査を打ち切っている。