欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/6/23

EUその他

エネルギー効率改善目標は「達成可能」=欧州委報告書

この記事の要約

EUは2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を掲げ、加盟国に省エネ目標の設定などを義務付けているが、欧州委員会は近くまとめる報告書に、全体としては順調に取り組みが進んでおり、新たな規制を導入する必要はないとの […]

EUは2020年までにエネルギー効率を20%改善する目標を掲げ、加盟国に省エネ目標の設定などを義務付けているが、欧州委員会は近くまとめる報告書に、全体としては順調に取り組みが進んでおり、新たな規制を導入する必要はないとの見解を盛り込むもようだ。ロイター通信が19日、欧州委の内部資料をもとに報じた。それによると、7月にも公表される報告書には、30年までにエネルギー効率を30%改善するとの新たな数値目標も盛り込まれる見通し。欧州委はコメントを控えている。

欧州委は06年、エネルギー効率の改善を通じて20年までにEU域内で消費される総エネルギー量を20%削減することを目標に掲げた行動計画を策定し、EUではそれに沿って家電製品や建築物などのエネルギー効率を高めるためのさまざまな施策が導入されてきた。しかし、それらはいずれも加盟国に効率化目標の達成を義務付ける拘束力のあるルールではないため、各国の取り組みに遅れが目立った。そこで欧州委は11年、20%の効率化目標を達成するための具体策を盛り込んだ新たな指令案を発表。目標達成に法的拘束力を持たせる案については加盟国が強く反発し、12年9月に域内のエネルギー事業者に対して最終消費者へのエネルギー販売量の削減を義務付けることや、加盟国に対しエネルギー効率基準に基づく公共調達を義務付けることなどを柱とする新指令が施行された。

ロイターが入手した内部資料によると、欧州委は現在のペースで推移した場合、20年時点で域内におけるエネルギー消費量を「18~19%削減することが可能」と試算。目標達成に向けて加盟国に取り組みを促すため、「緊急に新たな規制を導入する必要はない」と結論づけている。

一方、30年を達成期限とするエネルギー効率目標については少なくとも「30%の改善が不可欠」とし、年内の合意を目指す方針を示している。欧州委はさらに、緊張が高まっているウクライナ情勢を念頭に「エネルギー安全保障に関する戦略上、エネルギー効率が以前にも増して重要になっている」と強調。30年の数値目標を35%に引き上げる可能性についても検討を進める必要があると指摘している。