2012/10/10

総合・マクロ

スロベニア議会、「バッドバンク」法案を可決

この記事の要約

スロベニア議会は3日、経営難の国営銀行から不良債権を買い取る「バッドバンク」を設立する法案を可決した。国債発行再開に向けて市場の信用回復を図る。国営銀行の財務改善で民営化への道を拓く狙いもある。\ 「バッドバンク」は不良 […]

スロベニア議会は3日、経営難の国営銀行から不良債権を買い取る「バッドバンク」を設立する法案を可決した。国債発行再開に向けて市場の信用回復を図る。国営銀行の財務改善で民営化への道を拓く狙いもある。

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「バッドバンク」は不良債権を買い取って銀行の財務改善を支援する。シュシュテルシッチ財相は、同行に40億ユーロの政府保証を付与するほか、当座資金として10億ユーロを提供する方針を示した。

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経営難に陥っているノヴァ・リュブリャンスカ・バンカ(NLB)など大手3行はすべて国営。経済危機の長期化で不良債権が拡大し、その総額は40億~50億ユーロと推測されている。

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政府は国営銀行の財務を改善して民営化を進める意向だ。ただし、出資比率25%は維持する方針で、企業に対する国の影響排除を訴えるクラニェツ中銀総裁の批判を受けている。

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「バッドバンク」の設立は以前からの懸案だったが、財政難の深刻度が増し、ようやく野党の賛成を得た格好だ。欧州中央銀行(ECB)の理事会が4日、リュブリャナで開かれるのを前に、財政改善に向けた成果を示すことを迫られていた背景もある。

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スロベニアは今春以来、金利高騰を理由に国債の発行を見合わせている。遅くとも来年には資金が不足する見通しで、今回の措置を通して資金の市場調達を再開させたい意向だ。

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■改革断行でEU支援不要に

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=IMF

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国際通貨基金(IMF)は、スロベニアが改革を早急に実行すれば、欧州連合(EU)による支援を受けないで済むとみている。スロベニアで調査に当たったIMF代表団のスピリムベルゴ団長が2日、同見解を明らかにした。

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スピリムベルゴ団長は必要な措置として◇金融業界の再建◇民営化◇年金改革◇労働市場改革◇財政緊縮――を挙げた。また、不良債権処理と同時に、危機を防止する措置をとることが肝要と指摘した。

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企業債務が多額に上っていることを問題視し、企業経営に対する国家の影響力を除くために、政府出資比率を現在政府が予定する少数阻止株(25%)以下に引き下げる必要性を訴えた。

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年金改革については、国内総生産(GDP)に対する年金支出の割合が現在11%、老齢化が進行すれば2060年には18%に増加すると指摘。現在計画されている改革に続き、今後数年で追加的改革が必要となると話した。

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スロベニアの経済危機はいまだに続いており、ユーロ圏でも景気後退率が最も大きい。IMFによると、今年のGDPは2.2%、来年は1%、それぞれ縮小する見通しだ。中銀は今年1.8%、来年0.7%、政府系経済研究所UMARは今年2%、来年1.4%の後退を予測する。

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