2014/1/15

総合・マクロ

ハンガリーとオーストリアの関係緊張、土地法めぐり

この記事の要約

ハンガリーで昨年成立した改正土地法をめぐって、オーストリアが同国政府との協議を求めている。外国人との間で結ばれた農地借地契約が今年5月に無効となる条項を問題とし、「長期的な解決」を探る姿勢だ。具体的な日程は未定だが、今月 […]

ハンガリーで昨年成立した改正土地法をめぐって、オーストリアが同国政府との協議を求めている。外国人との間で結ばれた農地借地契約が今年5月に無効となる条項を問題とし、「長期的な解決」を探る姿勢だ。具体的な日程は未定だが、今月中に担当閣僚間の会談が行われるとみられている。

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ハンガリーでは1994年以来、外国人による農地取得が禁じられてきた。このため、同国で農業を営む外国人は、数十年単位の借地契約を結んで土地を確保した。多くの場合、契約期間の借地料の全額が契約時に支払われている。

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欧州連合(EU)加盟から10年が経過する今年5月以降、ハンガリーは外国人による土地取得を合法化しなければならない。従来から「ハンガリーの土地はハンガリー人のもの」と宣伝するオルバン政権は土地法に外国人による買収に厳しい条件を課す条項を盛り込み、取引を実質的に不可能にした。また、現行の借地契約を無効とすることを決めた。

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ハンガリーで農業を営む外国人の中でもオーストリア人は多く、推定200人が20万ヘクタールを耕作しているという。このため、オーストリアのルップレヒター農相は、法改正の影響を受ける人の実数調査を行うとともに、ハンガリーのファゼカシュ農相にオーストリア人の権利を守るよう要請した。土地法の規定が欧州法で禁止されている差別に当たるとし、必要とあればEU機関に判断を求める姿勢だ。

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