2014/4/16

チェコ・スロバキア

チェコ国営電力が原発拡張計画を凍結、電力価格下落で採算取れず

この記事の要約

チェコ国営電力会社CEZは10日、テメリン原子力発電所で原子炉2基を増設する計画を中止すると発表した。電力価格の下落で投資に見合う収益が見込めないためで、これまで進めてきた入札手続きを中止する。電力市場を取り巻く状況が将 […]

チェコ国営電力会社CEZは10日、テメリン原子力発電所で原子炉2基を増設する計画を中止すると発表した。電力価格の下落で投資に見合う収益が見込めないためで、これまで進めてきた入札手続きを中止する。電力市場を取り巻く状況が将来、改善すれば、計画再開もありえるとしている。

CEZは09年、将来の電力需要の増加に対応するためテメリン原発の増設計画を打ち出し、拡張工事の施工事業者選定入札を開始した。拡張工事の総工費は推定2,000億~3,000億コルナ(73億~109億ユーロ)で、東芝の米子会社ウェスチングハウス、ロスアトム率いる露・チェコの企業グループMIR.1200、仏アレバ(12年に要件不備を理由に選考から外されたが、異議申し立てを行い係争中)、韓国のコンソーシアムの4グループが応札していた。

増設凍結の引き金となったのは、原子力で発電された電力の固定価格買い取りを行わないことを、2月に発足したソボトカ新政権が9日に正式決定したことだ。ハンガリー経済ニュースサイトportfolio.huの報道によると、テメリン原発増設で収益を確保するためには稼働期間中を通して1メガワット時当たりの電力取引価格が少なくとも115ユーロに達していなければならない。しかし、現在の市場価格は40~50ユーロにとどまっており、政府の支援なしには全く採算が取れないという。