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2014/9/17

経済産業情報

開発相が大手企業の途上国事業を批判

この記事の要約

ドイツのゲルト・ミュラー経済協力・開発相は9日、ベルリン商工会議所の催しで演説し、国際的な企業の途上国事業のあり方に疑問を投げかけた。名指しを避けながらも石油メジャーのシェルとスポーツ用品大手のアディダスを批判した。ミュ […]

ドイツのゲルト・ミュラー経済協力・開発相は9日、ベルリン商工会議所の催しで演説し、国際的な企業の途上国事業のあり方に疑問を投げかけた。名指しを避けながらも石油メジャーのシェルとスポーツ用品大手のアディダスを批判した。ミュラー開発相は中道右派であるキリスト教社会同盟(CSU)の議員。

同相は最近、ナイジェリアを訪問したことを明らかにしたうで、「皆さんがもし、ニジェール・デルタを訪れ石油採掘のあり様をみたならば、同地で石油を採掘している企業のガソリンスタンドで給油することはなくなるでしょう」と明言。先進国の豊かな生活の陰に深刻な環境破壊があることは受け入れられないと強調した。同地では複数のメジャーが国営企業と共同で石油を採掘しているが、シェルに対しては昨年、蘭デンハーグの裁判所が現地住民への損害賠償支払いを命じている。

同相はまた、サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会でドイツチームが着用したアディダス製ユニホームのレプリカが1着84ユーロで販売されていることにも言及したうえで、「バングラデシュの縫製工場の女性工員にはそのうちのわずか15セントしか手に入らない」と指摘。時給5セントで1日16時間、週6日働いても生活を賄うことはできないとして、賃金アップの必要性を訴えた。革加工の工程で児童が化学溶液のなかで裸足で働く結果、10年後に死亡することも問題だとしている。

アディダスの広報担当者はこれに対し、ミュラー開発相が指摘したユニホームは中国製であり、バングラデシュで製造していないと反論。発言撤回を求めるとともに、ヘアツォーゲンアウラハ本社に同相招いて同社の取り組みを良く説明したいと語った。シェルは採掘施設の排水をすべて浄化しているとしている。

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