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2015/6/10

ゲシェフトフューラーの豆知識

最低賃金への業績給算入は違法か

この記事の要約

時給8.5ユーロの法定最低賃金が1月1日付で導入された。これを下回る賃金は原則として違法となる(17年1月からは例外なく違法)。では、基本給を8.5ユーロ未満に設定し、業績給を上乗せする形で8.5ユーロ以上を支給すること […]

時給8.5ユーロの法定最低賃金が1月1日付で導入された。これを下回る賃金は原則として違法となる(17年1月からは例外なく違法)。では、基本給を8.5ユーロ未満に設定し、業績給を上乗せする形で8.5ユーロ以上を支給することは最低賃金法(MiLoG)に抵触するのだろうか。この問題をめぐる係争でデュッセルドルフ労働裁判所が4月に判決(訴訟番号:5 Ca 1675/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。同被用者は昨年末まで、基本給を1時間当たり8.1ユーロ、業績給を同最大1ユーロとする条件で勤務していた。

雇用主はMiLoGが施行された1月1日以後もこの枠組みを修正せず、業績給1ユーロのうち0.4ユーロ(40セント)は必ず支給する意向を原告に伝えた。つまり基本給と業績給の合計が8.5ユーロを下回らないようにしたのである。

原告はこれがMiLoGに違反すると批判。基本給を8.5ユーロとし、業績給をそれに上乗せする方式にするよう要求したが、受け入れられなかったため提訴した。

1審のデュッセルドルフ労裁はこの訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、MiLoGの狙いはフルタイムで働けばそれなりの生活を送れるようにすることにあると指摘。重要なのは勤務に対して時給8.5ユーロ以上が支給されることであり、支給額の内訳(基本給か業績給か)は問題でないとの判断を示した。

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