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2015/6/10

企業情報

ドイツ銀行―「フィンテック」との協力体制構築へ―

この記事の要約

ドイツ銀行(フランクフルト)は3日、金融関連のITスタートアップ企業である「フィンテック」と協働するための事業拠点をベルリン、ロンドン、米シリコンバレーの3カ所に設置すると発表した。2020年までに最大10億ユーロを投じ […]

ドイツ銀行(フランクフルト)は3日、金融関連のITスタートアップ企業である「フィンテック」と協働するための事業拠点をベルリン、ロンドン、米シリコンバレーの3カ所に設置すると発表した。2020年までに最大10億ユーロを投じて事業のデジタル化を推し進める戦略(シュトラテギー2020)の一環。ヘンリー・リチョット最高執行責任者(COO)兼最高デジタル責任者(CDO)は「テクノロジーは銀行業務を根本から変える」と述べ、3拠点を同行とフィンテックをつなぐ橋渡しの場にする考えを示した。

「ドイチェ・バンク・ラブス」という名の拠点を10月までに設立する。ベルリンでは米マイクロソフト、ロンドンでは印HCL、シリコンバレーでは米IBMと協働。これら提携先が持つリソース、ノウハウ、事業ネットワークを活用する。

ドイツ銀はフィンテックが持つ事業アイデアを年500以上、吟味する。将来性があると判断した場合は共同開発に切り替え、自社商品・サービスなどに取り込んでいく。

フィンテックは斬新なサービスで銀行などから顧客を奪い取ることがある。その一方で、顧客基盤を拡大したり金融規制に対応するのが難しいという問題も抱えている。このため、事業規模が大きく規制動向にも精通した大手銀行との提携は、フィンテックにもメリットがある。

独2位銀行のコメルツ銀行は2013年にフィンテックと協働するためのプラットフォーム「マイン・インキュベーター」を立ち上げた。スイス銀UBSもそうした取り組みをすでに行っており、こうした動きは今後、銀行業界で加速する見通しだ。