ゲシェフトフューラーの豆知識

異動選考対象の選定基準で最高裁判決

経営上の理由で人事異動を行う場合、雇用主は対象となる被用者の選定を公正な基準で行わなければならない――。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は10日の判決(訴訟番号:10 AZR 915/12)でそんな判断を示した。 \ 裁 […]

人員整理時の「社会的計画」、契約社員への適用除外は不当

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その目的は解雇される被用者の経済的なデメリットを緩和することにある。では、人員削減を行わなくても契

「ダイナミックなチームでの仕事」は年齢差別に当らず

求人広告を出す場合は文面に細心の注意を払わなければならない。うかつなことを書くと、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた差別に当るとして、損害賠償訴訟を起こされるからだ。では「ダイナミックなチームでの仕事」という表現はそう

送金チェックのミスで解雇は行き過ぎ

送金内容のチェックで重大なミスをした銀行員を解雇するのは妥当か――。この問題をめぐる係争でヘッセン州労働裁判所が2月に判決(訴訟番号:Az. 9 Sa 1315/12)を下しので、ここで取り上げてみる。 \ 裁判を起こし

派遣社員の正社員化、試用期間ルールは適用か

社員を新規採用する場合、通常6カ月の試用期間が設けられ、この間は理由の如何にかかわらず社員を解雇できる。これは解雇保護法(KSchG)1条に基づく決まりである。では派遣社員として6カ月以上、勤務していた者を正社員化した場

特別手当の支給条項、文意は明確に

ドイツには「13回目の給与(13.Gehalt)」という特別手当がある。これは年に12回の月給のほかに支給される、クリスマス手当や有給休暇手当などを指す。この手当をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決

仮病の疑いがあっても立証できなければ解雇できず

病気と偽って欠勤した社員を雇用主は解雇できる。だが、仮病だったのか本当に病気だったのかが分からないケースでは仮病であることを裏付ける証拠を提示できない限り解雇できない。そんな判決をベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が

病休中の転職活動、解雇は妥当か

社員が転職に向けて活動してもそれを理由に解雇することはできない。憲法(基本法)12条で職業選択の自由が保障されているためだ。最高裁の連邦労働裁判所(BAG)の判決(訴訟番号: 2 AZR 190/07)では、解雇できるの

同僚にけんか仕かけた社員、即時解雇は妥当

同僚にけんかを仕かけた社員の解雇をめぐる係争で、ケルン州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:11 Sa 412/12)を下した。ここで取り上げてみたい。 \ 原告は被告企業(メーカー)に勤務していた正社員。同社員は2

未消化の有給休暇、金銭で支給する義務がないケースも

雇用関係を解消する場合、企業は未消化の有給休暇を金銭に換算して当該の被用者に支給しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。だが、この支給義務が発生しない例外的なケースもある。そん

勤務時間の拘束を受けない社員はありか?

勤務時間の長さを労働契約で取り決めていない社員には当該企業の通常の勤務時間が適用されるとするルールがドイツにはある。このルールは労使協定の拘束を受けない社員にも適用されるかどうかという問題をめぐる係争で、最高裁の連邦労働

口頭での雇用関係解除、有効な場合も

雇用関係を解除する場合は、その旨を文書で通告しなければならない。これは民法典(BGB)623条に記されたルールである。では、口頭での雇用関係の解除はすべて無効なのだろうか。この問題をめぐる係争で、ラインラント・ファルツ州

ナチスを意味するスタンプ捺印で即時解雇

従業員がちょっとした失言や不適切な行動を行っても初めてのケースであればせいぜい、警告処分にとどまる。だが、人道上、類例のない犯罪を行ったナチスに関するとなると事情は大きく異なってくる。この問題に関する係争でハム州労働裁判

不採用者への情報開示義務はあるのか

従業員の採用募集を行った企業は、不採用となった応募者から抗議を受けたり、不採用とした理由の説明を求められることがある。そうした場合、企業はどんな対応をしなければならないのだろうか(あるいは、どんな対応をする必要がないのだ

事業所委の会議、緊急性のない場合は仕事が優先

従業員の代表である事業所委員は事業所委員会(Betriebsrat)の業務遂行に必要な場合、仕事を免除される。これは事業所体制法(BetrVG)37条2項に明記されたルールであり、事業所委の会議もこれに当る。では、事業所

雇用契約の解除、文書に不備があっても有効なケースあり

解雇通知書ないし雇用契約の解除文書に不備がある場合、雇用関係は解除されない。これは民法典623条、126条に記されたルールである。では、雇用関係の解除を被用者が望んだにもかかわらず、長い時間が経ってから書式の不備を理由に

就労に支障のある慢性疾患は「障害」=欧州司法裁

欧州司法裁判所(ECJ)は11日に下した判決で、就労に支障のある慢性疾患も「障害」の範疇に入るとの判断を示した(訴訟番号:C-335/11、C-337/11)。慢性疾患を持つ被用者は雇用問題で障害者と見なされることを意味

採用募集での職歴上限の制限は差別か

社員募集の際に応募資格者の年齢を制限することは、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たる。では、応募資格者の職歴に上限を設けることもAGGに抵触するのだろうか。この問題をめぐる係争でケルン労働裁判所が1月に

整理一時金の減額、年金受給開始が近ければ妥当=最高裁

企業が経営上の理由で人員削減を行う場合、労使が協議して「社会的計画(Sozialplan)」というリストラ計画を策定する。その際、年金受給が間もなく始まる定年退職間近の社員、つまり再就職の必要性がほとんどない社員の整理一

事業所委が同意前の勤務時間計画、公表は違法か

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)には、就業・休憩時間および各週の労働時間の割り振りを雇用主と共同で決定する権利がある。これは事業所体制法(BetrVG87条1項2)に明記されたルールである。で

タイムカードの誤記、過失の場合も即時解雇か

被用者がタイムカードを偽って記入した場合、雇用主は即時解雇を通告できる。では、過失の場合もこの原則が適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争でラインラント・ファルツ州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:10 Sa

「同一労働には同一賃金」の原則で最高裁判断

派遣会社は派遣社員に対し、派遣先企業の従業員と同一の賃金を支給しなければならない。これは被用者派遣法(AUEG)10条4項第1文に明記されたルールである。ただ、同項第2文には、派遣業界に労使協定がある場合は、派遣社員の賃

事業所委の定数決定で最高裁判断

従業員の代表である事業所委員の数は各企業の被用者数に応じて決まってくる。これは事業所体制法(BetrVG)9条に記されたルールであり、被用者が5~20人であれば1人、21~50人であれば3人、51~100人であれば5人な

年金受給開始年齢で定年は妥当=最高裁

被用者が公的年金の受給開始年齢に達した時点で雇用関係が解消されるとの労使合意は、一般平等待遇法(AGG)で禁止された年齢差別に該当するのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が5日に判決(訴訟番

事業所委のインターネット利用権で高裁判断

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な物品や情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、雇用主はインター

採用応募メール、着信の証明義務は応募者に

電子メールで採用募集に応募したにもかかわらず、何の返事ももらえなかった――。この場合、電子メールが募集企業のメールボックスに着信していたかどうかを証明する義務は誰にあるのだろうか。この問題をめぐってベルリン・ブランデンブ

育休時の労働時間ルールで最高裁判決

被用者は育児休暇(Elternzeit)の期間中、勤務時間の短縮とその割り振りを雇用主に申請できる。これは育児休暇法(BEEG)15条5項第1文に明記された権利である。同第2文には被用者と雇用主が申請から4週間以内に合意

差別の兆候を採用応募者が提示できなければ差別に当らず

性別や年齢、障害を理由に差別された場合、被用者や採用応募者は損害賠償を請求できる。これは一般平等待遇法(AGG)15条2項に記されたルールである。この条文に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決(訴訟

企業年金の勤続年数規定は差別に当たらず

一定年数以上の勤続期間を企業年金の支給条件として設定することは、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた年齢差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が12日に判決(訴訟番号: 3 AZR

人事管理ソフトは共同決定権の対象

企業に複数の事業所がある場合、従業員の代表機関である事業所委員会(Betreibsrat)が事業所ごとに設置されるほか、個々の事業所委員会の代表からなる全体事業所委員会(Gesamtbetriebsrat)も設置される。

家の玄関で転倒、労災は適用されるか?

労災の適用対象となる「通勤」は家の玄関を出たところから始まる。これは最高裁の連邦社会裁判所(BSG)の判決で確定した判例である。この判例に絡んだ裁判でベルリン・ブランデンブルク州社会裁判所が昨年9月に判決(訴訟番号:L

派遣社員は解雇保護法上の「従業員」に入るか?

従業員数が通常的に10人以下の企業で働く被用者で2004年1月1日以降に採用された者には、解雇保護法(KSchG)の規定が一部の例外を除いて適用されない。これは同法23条1項第3文に明記されたルールであり、適用されるのは

倒産で整理解雇した企業の派遣社員投入は不当か?

経営破たんで会社更生手続きの適用を受けた企業はしばしば、経営上の理由による解雇を行う。ではそうした企業が派遣社員を投入することは法的に許されるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年10月

勤務中に十字架のペンダントは許容されるか?

欧州では第2次世界大戦後に社会の世俗化が進み、無宗教の市民が増えている。だが、信仰心の篤い人も決して少なくはなく、十字架のペンダントを身につけている人もいる。では、そうした宗教的な意味を持つ行為を勤務中に行うことは認めら

彼女の家から出勤で交通事故、労災は適用か

従業員に交際相手がいる場合、彼なり彼女なりの家から会社に出勤することはよくあることである。では、恋人宅からの出勤途中に交通事故にあった場合、労災保険は適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争でラインラント・ファルツ州社

派遣社員の長期派遣、派遣先との間に雇用関係発生へ=高裁

派遣社員の派遣期間は一時的でなければならない。これは2011年に改正された労働者派遣法(AUEG)1条1項第2文に記されたルールである。では、派遣期間が長期化した場合はどうなるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・

危険な行為で同僚を傷害、即時解雇は妥当か

即時解雇が法的に認められるのはそれを正当化するだけの「重大な理由」がある場合に限られる。これは民法典(BGB)626条1項に記されたルールである。このルールの適用の是非をめぐる係争でクレーフェルト労働裁判所が昨年11月に

事業所委に給与の閲覧権あり

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は被用者の採用、待遇、解雇などについて共同決定権を持つ。この業務を遂行するためには当然のことながら、経営陣が持つ情報の共有が必要になる。では、被用者の個人情報に

ポルノサイト閲覧で解雇は不当

雇用主は業務用のパソコンを被用者が私的目的で利用することを禁止できる。では、そうしたルールに違反した被用者に対してはどの程度の処分を下すことが妥当なのだろうか。この問題に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年

退職証明書で被用者が記載を要求できる事柄は?

退職する被用者は退職証明書(Arbeitszeugnis)の発行を雇用主に要求できる。これは営業令(GewO)109条1項第1文で保障された権利である。同第2文にはさらに、勤務内容とその期間については最低限、明記されてい

経営状態を採用応募者に知らせる義務はあるか?

労働契約内容の遂行が不可能になるような経営上の問題を抱えている場合、雇用主は契約締結前にその事実を採用応募者に伝えなければならない。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が過去に下した判決で確定した判例である。では会社で

事業所委・小委員会への業務委任で最高裁判断

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は小委員会(Betriebsausschuss)を設置して業務を委任することができる。これは効率的な業務遂行を狙ったルールであり、事業所体制法(BetrVG

勤務時間の短縮要請で最高裁判決

従業員数15人以上の企業に勤務する被用者(勤続期間6カ月以上)は労働契約で取り決めた勤務時間の短縮を雇用主に請求できる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」8条1項に記されたルールである。同条4

不動産の買収、管理会社の職員を継続雇用する義務はあるか?

民法典(BGB)613a条には、他社の事業を買収した企業は買収の時点で買収対象事業で有効だった被用者に対する権利と義務を継承しなければならないと明記されている。この条文についてはこのコラムで何度か紹介した。では、不動産管

「捜査を受けたことはありますか」は違法な質問

採用応募者に対して質問してもよい内容といけない内容がある。人格権の侵害や差別に当たるような質問がそれに当る。では、過去に検察や警察の捜査を受けたことがあるかどうかを尋ねることは許されるのだろうか。この問題をめぐる係争で最

有給休暇中の解雇通知送達で最高裁判決

雇用主からの特別解雇(Ausserordentliche Kuendigung)通知が送達されてから3週間以内に提訴しないと被用者は解雇の無効を請求する権利を喪失する――。これは解雇保護法(KSchG)4条第1項に記され

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