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2013/3/13

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委のインターネット利用権で高裁判断

この記事の要約

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な物品や情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、雇用主はインター […]

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な物品や情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、雇用主はインターネット接続の便宜も提供しなければならない。では、事業所委には自社が利用するのとは異なるプロバイダーの利用を請求する権利もあるのだろうか。この問題をめぐる係争でバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所が1月に決定(訴訟番号:13 TaBV 8/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのはバーデン・ヴュルテンベルク州立企業のB事業所の事業所委員会。同事業所委は1997年から外部のプロバイダーが提供するインターネット接続サービスを利用していた。

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被告企業のIT責任者は2011年になって、同事業所委が時代遅れとなったISDN回線を利用していることを知った。同回線では利用時間に応じて料金が課金されるため、コストが高く、年2,000ユーロを超えていた。

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IT責任者から事情を伝えられた雇用主は同事業所委に対し、外部プロバイダーとの契約を打ち切り、社内のイントラネットを通してインターネットを利用するよう命令した。これに対し事業所委は、イントラネットを使うと雇用主に通信内容を監視され守秘義務を順守できなくなる恐れがあると主張。ISDN回線契約からフラットレート契約に変更したうえで引き続き外部のプロバイダーを利用することを認めるよう要求した。これが受け入れられなかったため提訴した。

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第1審のカールスルーエ労働裁判所は原告・事業所委の訴えを棄却し、第2審のバーデン・ヴュルテンベルク州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、事業所委の業務は外部のプロバイダーのサービスを利用しなくても遂行できると指摘。またイントラネットを利用すると守秘義務を順守できなくなるとする主張についても根拠がないとの判断を示した。

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