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2013/1/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

危険な行為で同僚を傷害、即時解雇は妥当か

この記事の要約

即時解雇が法的に認められるのはそれを正当化するだけの「重大な理由」がある場合に限られる。これは民法典(BGB)626条1項に記されたルールである。このルールの適用の是非をめぐる係争でクレーフェルト労働裁判所が昨年11月に […]

即時解雇が法的に認められるのはそれを正当化するだけの「重大な理由」がある場合に限られる。これは民法典(BGB)626条1項に記されたルールである。このルールの適用の是非をめぐる係争でクレーフェルト労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号: 2 Ca 2010/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは建設会社の従業員。同従業員は2012年8月7日、建設現場に設置された仮設トイレで爆竹を爆発させ、中にいた同僚に火傷をおわせた。この同僚は火傷で3週間の病休を取得。雇用主はこれを受け、10日付の文書で原告に即時解雇を通告した。

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これに対し原告は「冗談だった」「建設現場では気分を盛り上げるために同僚を爆竹でびっくりさせることがよく行われている」などと主張。即時解雇に値するほどの重大な義務違反は犯していないとして解雇取り消しを求める訴訟を起こした。

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第1審のクレーフェルト労裁は原告の訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、火薬を不適切に取り扱えば怪我や火傷につながることは誰でも知っている常識だと指摘。爆竹で実際に同僚が怪我をしたことは即時解雇を正当化する重大な理由に当たると言い渡した。同僚を傷害する意図があったかどうか(故意か過失か)は二次的な問題だとしている。

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