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2013/3/13

ゲシェフトフューラーの豆知識

年金受給開始年齢で定年は妥当=最高裁

この記事の要約

被用者が公的年金の受給開始年齢に達した時点で雇用関係が解消されるとの労使合意は、一般平等待遇法(AGG)で禁止された年齢差別に該当するのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が5日に判決(訴訟番 […]

被用者が公的年金の受給開始年齢に達した時点で雇用関係が解消されるとの労使合意は、一般平等待遇法(AGG)で禁止された年齢差別に該当するのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が5日に判決(訴訟番号:1 AZR 417/12)を下したのでここで取り上げてみる。

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裁判を起こしたのは被告企業に1980年から2007年8月まで勤務していた1942年生まれの男性。同男性は雇用期間を無期限とする取り決めで採用されていた。一方、被告企業には公的年金の受給開始年齢(65歳)に達した月の終了を以って退職するとの労使の取り決めがあった。被告企業はこの取り決めに従い原告が年金受給開始年齢に達した07年8月末で雇用関係を解消。原告はこれがAGGで禁止された年齢差別に当たるとして、退職決定の無効確認を求める訴訟を起こした。

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原告は第1、第2審で敗訴。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、雇用主と従業員代表の事業所委員会(Betriebsrat)は定年年齢を取り決めることができるとしたうえで、同取り決めを行う際は、全従業員を公正に取り扱わなければならないとした事業所体制法(BetrVG)75条1項の規定を順守しなければならないと指摘。公的年金の受給開始年齢への到達を以って退職とするとした被告企業の取り決めは同条項の規定に合致しており、年齢差別に当たらないとの判断を示した。この取り決めは同男性の雇用期間を無期限とするとした取り決めに優先するとしている。

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