2011/5/30

総合 –EUウオッチャー

セルビアが大物戦犯拘束、EU加盟へ前進

この記事の要約

セルビア政府は26日、ボスニア内戦時の戦犯として旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)から訴追されているムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)の身柄を拘束したと発表した。セルビアが加盟を目指すEUは、同被告の拘束、ICTYへの […]

セルビア政府は26日、ボスニア内戦時の戦犯として旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)から訴追されているムラジッチ被告(元セルビア軍司令官)の身柄を拘束したと発表した。セルビアが加盟を目指すEUは、同被告の拘束、ICTYへの引渡しを、加盟手続きを進めるための重要条件としていたことから、同国は加盟に向けた大きな障害が取り除かれたことになる。

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セルビアのタディッチ大統領によると、ムラジッチ被告が発見されたのは首都ベオグラードの北80キロに位置するラザレボ村。いとこが所有する農家にいたところを当局によって拘束された。拘束時に抵抗はしなかったという。被告は変装していなかったが、偽名の身分証明書を持っていた。

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ムラジッチ被告は2008年に身柄を拘束されたカラジッチ被告(元セルビア人勢力指導者)と並ぶボスニア内戦時の大物戦犯。スレブレニツァのムスリム系住民大量虐殺事件を指揮したとされる。

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セルビアは2008年にEU加盟の前段階である「安定化・連合協定(SAA)」を締結し、2009年12月に加盟を正式申請した。加盟候補国としての認定と加盟交渉開始が次のハードルとなる。EUは加盟手続きを進める条件として、政府によるICTYへの全面的協力を挙げ、ムラジッチ被告をはじめとする戦犯の逮捕を求めていた。戦犯ではハジッチ被告(セルビア人勢力元政治指導者)が現在も逃亡中だが、大物戦犯であるムラジッチ被告の身柄拘束により、加盟に向けて大きく前進した格好。欧州委員会のフューレ委員(EU拡大担当)は「正義が下され、セルビアのEU加盟に向けた重大な障害が除去された」とコメントした。

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