2012/1/23

総合 –EUウオッチャー

昨年のアイルランド財政赤字はGDP比10%、削減目標を達成

この記事の要約

欧州委員会と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)は19日、財政危機でEUとIMFから金融支援を受けているアイルランドの財政再建が順調に進んでおり、2011年の財政赤字削減目標を達成したと発表した。\ 1月10~ […]

欧州委員会と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)は19日、財政危機でEUとIMFから金融支援を受けているアイルランドの財政再建が順調に進んでおり、2011年の財政赤字削減目標を達成したと発表した。

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1月10~19日にアイルランドの財政再建状況を審査した3機関がまとめた報告書によると、昨年の財政赤字は国内総生産(GDP)比10%。目標の10.6%を下回る水準まで改善した。

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EUは2010末、財政危機に直面するアイルランドに対して、IMFと共同で総額675億ユーロの緊急融資を実施することを決定。融資額はEUが450億ユーロ、IMFが225億ユーロとなっている。うち382億ユーロが実行済みだ。

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追加融資には、アイルランド政府が約束した財政再建などの進展状況を欧州委、ECB 、IMFが定期的にチェックし、予定通り進んでいることが確認される必要がある。

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アイルランドは支援の条件として、財政赤字を2015年までにEUの財政規律で上限となっているGDP比3%を下回る水準まで圧縮する必要がある。2012年の目標は8.6%。

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報告書は、財政再建が「軌道に乗っている」としながらも、今年は「大きな試練に直面する」との見通しを示した。内需の低迷、高い失業率によって景気が停滞し、緊縮策の継続が厳しくなるためだ。3機関は同国の今年の成長率を当初はプラス1%としていたが、マイナス0.5%に引き下げた。

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アイルランドの10年物国債の流通利回りは約7.5%。金融支援を受けている国の中では、10%を超えているギリシャ、ポルトガルより低い水準だが、なお危険水域とされる7%台にある。同国は国債市場での資金調達を早期に再開することを目指しているが、市場では景気悪化による財政再建後退で、当面は引き続きEUなどによる追加融資が必要になるとの見方が出ている。

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