2012/2/6

総合 –EUウオッチャー

露ガスプロムが欧州向け供給量を削減、寒波による需要増で影響拡大も

この記事の要約

東欧を中心に厳しい寒波の影響が広がるなか、ロシアの政府系独占ガス企業ガスプロムは4日、国内での需要増に伴い、一時的に欧州向けの天然ガス供給量を減らしたことを明らかにした。同社によると、欧州向けの供給量は同日までに通常のレ […]

東欧を中心に厳しい寒波の影響が広がるなか、ロシアの政府系独占ガス企業ガスプロムは4日、国内での需要増に伴い、一時的に欧州向けの天然ガス供給量を減らしたことを明らかにした。同社によると、欧州向けの供給量は同日までに通常のレベルを回復したものの、欧州側からの供給量の増加要請には対応できないと説明している。当面は備蓄などで対応可能とみられるが、寒波が長引けば市民生活に深刻な影響が出る可能性もある。

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東欧からロシアにかけて最低気温が氷点下35度を下回り、これまでにウクライナ、ポーランド、ルーマニアなど各国で200人を超える死者が出ている。こうしたなか欧州委は3日、オーストリア、イタリア、ギリシャ、ポーランド、ハンガリー、ブルガリアなど域内9カ国でロシアからのガス供給量が減少したことを明らかにした。欧州委によると、オーストリアでは一時30%、イタリアでも24%、ロシア産ガスの供給量が通常の水準を下回った。ただ、備蓄やロシア以外のルートからの供給などで当面は対応できる見通しで、同委は今のところ「非常事態」に陥った国はないと説明している。

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欧州委の発表に対し、ガスプロムは当初、EU諸国との契約を完全に順守しており、欧州向けガス供給を減らした事実はないと明言。経由国のウクライナで「抜き取り」が行われた可能性を示唆していた。しかし、同社のクルグロフ最高財務責任者(CFO)は4日、プーチン首相への報告で、国内での需要増に対応するため、欧州向けの供給量を「数日間」にわたり最大10%削減したことを明らかにした。

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ロシア産天然ガスをめぐっては、ウクライナとの価格交渉の不調からガスプロムが2009年1月に同国向けガス供給を停止。ウクライナ経由でロシアからガス供給を受けているEU域内の18カ国で供給が停止または大幅に減少する事態に陥り、大寒波の中で市民生活や企業活動に深刻な影響が出た経緯がある。

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