2014/2/17

環境・通信・その他

欧州委がネットガバナンス改革案を発表、EU主導でグローバル化を推進

この記事の要約

欧州委員会は12日、インターネットの健全な運営を維持するための管理機能(ガバナンス)の透明性を高め、グローバル化を進めるための改革案を発表した。米政府による大規模な情報収集活動が明るみになり、世界的にインターネットに対す […]

欧州委員会は12日、インターネットの健全な運営を維持するための管理機能(ガバナンス)の透明性を高め、グローバル化を進めるための改革案を発表した。米政府による大規模な情報収集活動が明るみになり、世界的にインターネットに対する信頼が著しく損なわれた現状を踏まえ、各方面と連携してより透明で説明可能な、開かれたガバナンスの構築を目指す。

欧州委は米国家安全保障局(NSA)による情報収集活動の発覚をきっかけに、米国主導によるインターネットガバナンスに対する疑問が生じているとし、よりグローバルな管理体制への移行に向けて欧州が中心的な役割を果たす必要があると指摘。クルース委員長(デジタル政策担当)は「インターネットガバナンスの世界地図を書き換えるうえで今後2年間が決定的に重要になる。グローバルなインターネットガバナンスの実現に向けて欧州の貢献が不可欠だ」と強調している。

欧州委は具体策として◇ドメイン名やIPアドレスを管理する非営利組織ICANNや、インターネット資源の管理を手掛けるIANAをグローバル化するためのスケジュールの策定◇インターネットガバナンスの問題について各方面の関係者が意見交換する国連管轄の会議「インターネットガバナンスフォーラム(IGF)」の強化◇インターネットポリシーの透明性を監視するオンラインプラットフォーム「Global Internet Policy Observatory」の創設◇オープンで分断化されていないインターネットの本質を保護するための原則の確立◇インターネットの安全性と安定性を確保するためのグローバルな意思決定システムの確立(たとえばドメイン名やIPアドレスの管理における協力体制)――などを提案している。

一方、クルース委員は、一部で国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)などにインターネットの管理を委ねるべきだとの意見が出ている点に触れ、「政府機関が重要な役割を担うべきだとの考え方には同意するが、トップダウン方式のアプローチが正解だとは思わない。インターネットがイノベーションの原動力であり続けるため、各方面の関係者が関与するモデルを強化する必要がある」と述べている。