欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/6/29

EU情報

加盟国が対ロ制裁の延長で正式合意、ロシアは対抗措置を1年延長

この記事の要約

EU加盟国は22日開いた外相理事会で、ウクライナ情勢を受けて実施しているロシアに対する経済制裁を来年1月末まで6カ月延長することを正式に決めた。ウクライナ東部で政府軍と親ロシア派の戦闘が現在も散発的に続いており、2月に成 […]

EU加盟国は22日開いた外相理事会で、ウクライナ情勢を受けて実施しているロシアに対する経済制裁を来年1月末まで6カ月延長することを正式に決めた。ウクライナ東部で政府軍と親ロシア派の戦闘が現在も散発的に続いており、2月に成立した停戦合意が完全に履行されていないというのが理由。一方、ロシア政府は24日、EUや米国などからの農産物の輸入禁止を1年延長すると発表した。EUの決定を受けた報復措置で、今後さらに禁輸の対象品目を拡大することも検討しているという。

EUが延長を決めたのは、昨年8月から1年間の期限付きで実施している経済制裁で、ロシア向け武器輸出の禁止、政府系金融機関に対する融資の禁止、エネルギー分野での技術供与の制限を柱とする内容。これとは別に、EUはウクライナの主権や領土の侵害に関与した個人や企業・組織を対象に、資産凍結やEU域内への渡航禁止の制裁措置も実施しているが、こちらは9月15日が期限となっており、延長するかどうかは別途検討することになる。

一方、ロシア側は昨年8月から実施しているEU、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーからの野菜や果物、乳製品、魚介類などの輸入禁止を1年延長する。EU加盟国が今月17日に対ロ制裁の延長で基本合意した時点では、ロシア側も「相互主義の原則」(ペスコフ大統領報道官)に基づいて西側に対する制裁を6カ月延長する方針を示唆していたが、最終的に予想を大幅に上回る報復措置を打ち出した。

当面はこれまでの制裁内容が維持されるが、トカチェフ農業相は24日、新たに生花、菓子、魚の缶詰などを禁輸リストに追加する方向で検討していることを明らかにした。プーチン大統領は「米欧などに対する報復措置を本日から1年間延長する。今回の決定は国内の農業を良い方向に導くだろう」と語った。