2010/4/14

CIS諸国

キルギスで政変、野党勢力が政権掌握を宣言

この記事の要約

反政府デモを行う野党支持者らと治安部隊の衝突で死傷者が出た中央アジアのキルギスで7日、野党勢力が議会を解散し、オトゥンバエワ元外相を首班とする臨時政府を樹立した。バキエフ大統領は首都から脱出し、政権は事実上崩壊した。\ […]

反政府デモを行う野党支持者らと治安部隊の衝突で死傷者が出た中央アジアのキルギスで7日、野党勢力が議会を解散し、オトゥンバエワ元外相を首班とする臨時政府を樹立した。バキエフ大統領は首都から脱出し、政権は事実上崩壊した。

\

複数のメディアの報道によると、北部の都市タラスで6日、公共料金の引き下げや政府高官の汚職根絶を求める野党支持者が庁舎を占拠。排除しようとする治安部隊と衝突し暴動となり、これが7日には首都ビシュケクや中部のナルインに飛び火した。これまでに報告されている死者は65人に上る。

\

オトゥンバエワ元外相は記者会見で、臨時政府は「事態を完全に掌握している」と語り、主要閣僚を任命したことを明らかにするとともに、今後半年以内に大統領制から内閣を中心とする政治体制への移行を含めた新憲法を起草し、これを問う国民投票を実施すると宣言した。オトゥンバエワ氏はまた、バキエフ大統領が支持基盤の厚い西部ジャラル・アバード州に潜伏し、巻き返しを図っているとみられることについて、「彼の仕事は終った」と述べ、大統領に正式な辞任を求めていく考えを示した。

\

バキエフ大統領は2005年、議会選をめぐる抗議行動に端を発した「チューリップ革命」を機に政権を握ったが、同族支配や汚職の横行、強権的な政治姿勢などに国民の反発が強まっていた。

\

キルギスには、米軍がアフガニスタンで展開する対テロ作戦の空輸補給拠点としている基地があり、今回の政情混乱が米国のアフガン戦略に影響を与える可能性が懸念されている。

\

\

バキエフ大統領、辞任受諾も

\

\

一方、バキエフ大統領は13日、南西部の都市ジャラル・アバードで記者団と会見し「自分と家族の安全が保障され、国内の秩序が回復されるなら」と条件づけたうえで、臨時政府が要求する辞任を受け入れる考えがあることを明らかにした。また臨時政府が方針を表明している内閣を中心とする統治体制への転換についても、「反対しない」と述べた。

\

ただ、臨時政府との交渉のためビシュケクに戻る気はないとして、オトゥンバエワ氏にジャラル・アバードまで来るよう要求している。臨時政府が大統領の逮捕をちらつかせているためこれを警戒したとみられるが、大統領への支持が依然強い地域に臨時政府側が足を踏み込むかは不透明で、事態の鎮静化までなお紆余曲折をたどる可能性もある。

\
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |