2015/6/17

総合・マクロ

税優遇措置に関する調査、ポーランドとエストニアに情報提供命令

この記事の要約

欧州委員会は8日、欧州連合(EU)加盟国が多国籍企業に適用している税優遇措置がEUの国家補助規定に違反している可能性があるとして調査を進めている問題で、ポーランドとエストニアに情報提供を命じる警告書を送付したと発表した。 […]

欧州委員会は8日、欧州連合(EU)加盟国が多国籍企業に適用している税優遇措置がEUの国家補助規定に違反している可能性があるとして調査を進めている問題で、ポーランドとエストニアに情報提供を命じる警告書を送付したと発表した。両国は税務当局が企業と結んでいる課税措置に関する取り決め(タックスルーリング)について、1カ月以内に詳細情報を提供しなければならず、応じない場合はEU司法裁判所に提訴される可能性がある。

加盟国と企業が税務上の取り決めを結ぶこと自体は違法ではないが、誘致や雇用創出の見返りとして適用される優遇措置が多国籍企業による課税逃れを助長しているとの批判が高まっている。こうしたなか欧州委は昨年6月、アップルに対するアイルランド、米スターバックスに対するオランダ、米アマゾンと伊フィアットの金融子会社に対するルクセンブルクの措置について調査を開始。各国が実施している法人税優遇措置などの全容把握に向け、12月にはすべての加盟国に対し、2010-13年に結んだタックスルーリングの具体的な内容や対象企業のリストを提出するよう求めた。

欧州委によると、これまでにポーランドとエストニア以外の加盟国からは必要な情報が提出されたが、両国は会計上の守秘義務などを理由に情報提供を拒んでいる。欧州委は国家補助ルールに絡んだ調査に際してあらゆる情報の提供を命じる法的権限が与えられており、加盟国が要求を拒否することはできない。

一方、欧州委はフランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ベルギーなど15カ国に対し、個別のタックスルーリングについて追加情報の提供を要請したことを明らかにした。ヴェスタエアー委員(競争政策担当)は「各国から提供される詳細情報を注意深く分析して、課税措置に関する取り決めが特定の企業を優遇し、公正な競争を阻害していないか判断する」とコメントしている。