2015/6/17

総合・マクロ

中期的銀行業界展望、中東欧は貸付拡大もロシアは減益予想

この記事の要約

中東欧とロシアの銀行業界は今後4年間で明暗を分けそうだ。オーストリアのライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)は9日発表した中東欧の市場調査リポートで、中東欧諸国で貸付額が加速的に伸びる一方、ロシアでは不良債権 […]

中東欧とロシアの銀行業界は今後4年間で明暗を分けそうだ。オーストリアのライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)は9日発表した中東欧の市場調査リポートで、中東欧諸国で貸付額が加速的に伸びる一方、ロシアでは不良債権の増加と貸付額の伸び悩みで収益が悪化するとの見通しを示した。

ライファイゼンは、中東欧の欧州連合(EU)加盟国や西バルカン諸国では景気回復と借入需要拡大により、貸付額が2019年まで年率平均8%超で伸びると予測する。特にポーランド、スロバキア、チェコ、ハンガリーの貸付が活発化するとの見方だ。ただ、西欧系の銀行にとっては、市場競争激化や貸付規制強化などを背景に利益確保が依然厳しい状況で、今年は一部事業の閉鎖や市場撤退などの動きがありそうだという。

一方、ウクライナ紛争をめぐる欧米の制裁で大きな経済打撃を受けているロシアでは、通貨ルーブルの相場が安定化し、資金調達コストも平常レベルに戻りつつあるものの、市場環境の好転は難しそうだ。ルーブルベースの貸付額増加率は昨年の26%に対し、今年は10%を割り込み、不良債権比率は昨年の2倍近い8%に達すると予測する。