2015/7/22

ハンガリー

ハンガリーの食品・たばこの累進課税、EU法違反の疑い

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は15日、ハンガリーの食品スーパー、たばこ製造業者に対する累進課税がEU競争法に違反する疑いがあるとして、調査を開始したことを明らかにした。売上高を課税標準とする累進税率を課すため、売上高が低 […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は15日、ハンガリーの食品スーパー、たばこ製造業者に対する累進課税がEU競争法に違反する疑いがあるとして、調査を開始したことを明らかにした。売上高を課税標準とする累進税率を課すため、売上高が低いほど競争で有利となり、公平性を欠くと指摘している。さらに欧州委は、調査結果が出るまで課税を凍結するよう指示した。

ハンガリーは食品スーパーに対して、衛生状態などの検査費用という名目で課税している。これまでの課税率は一律で売上高の0.1%となっていたが、今年初めに0.1%~6%の累進課税に改正された。このため、事業規模が大きい外資系スーパーからは地元スーパーを優遇する差別規定だとの指摘が出ていた。

たばこ製造業者も同様に「健康への貢献」という名目で売上高に応じて課税され、税率0.2%~4.5%の累進税率が適用されている。欧州委は、売上規模が大きければ公衆衛生への害も大きいとは言えず、累進税率にする客観的な理由はないと指摘する。

ハンガリーのオンライン情報サイトPortfolio.huによると、専門家の推定では今年、食品スーパーから300~330億フォリント(約9,690~1億660万ユーロ)、たばこ製造業者から100~110億フォリント(約3,230~3,550万ユーロ)の累進課税税収が見込まれるが、施行禁止となれば政府は少なくとも400億フォリントの歳入減を余儀なくされる。(1HUF=0.44JPY)