2015/7/22

コーヒーブレイク

世界一の企業~チェコ

この記事の要約

チェコの首都プラハに近い人口1,800人のロデニツェ村に、世界シェア1位を誇る企業がある。レコードプレス会社のGZメディアがそれだ。昨年は欧米・日本など世界市場に1,400万枚を供給し、アナログ音楽メディア市場で7%のシ […]

チェコの首都プラハに近い人口1,800人のロデニツェ村に、世界シェア1位を誇る企業がある。レコードプレス会社のGZメディアがそれだ。昨年は欧米・日本など世界市場に1,400万枚を供給し、アナログ音楽メディア市場で7%のシェアを確保した。レコードの最大市場である米国は6%でこれを追っている。

コンパクトディスク(CD)は1980年代に市場に登場し、「鉄のカーテン」が取り除かれた1989年にはその普及が疑いないものになっていた。しかし、GZメディアではレコードプレス機を処分せずに取っておいた。ネメツ営業部長は当時の判断に「先見の明があった」と話す。

GZメディアの受注はマイケル・ジャクソン、クイーン、U2などの超有名人からカルト・バンドまで幅広い。これを1960、70年代に導入された年代物の機械でプレスして出荷する。色は黒とは限らない。他の色にも対応できる。あるロックバンドから亡くなったメンバーの遺灰を混ぜてレコードを作ってほしいと頼まれたこともあるという。

事業は大変順調で、過去4年は年間成長率が25~30%に上っているという。しばらくはこのペースが続く見通しだ。

具体的な数字は公表されていないが、過去最大の受注は「ローリングストーンズのファンクラブが注文した豪華版アルバム30枚セット」だったそうだ。

愛好家は、「CD(デジタル)よりも音が暖かく、心地よい」といってレコードを買い求める。音楽業界の世界売上高140億ユーロのうちレコードは2%を占めるに過ぎないニッチ市場だが、その人気は急上昇中。世界最大のレコード市場である米国では、昨年のレコード販売枚数が920万枚と前年比で52%も増加した。

GZメディアでは金曜のカリフォルニア行き便に8~10トンのレコードを積み込むのが慣例となっている。