2015/8/19

ロシア

国際航空会社、ロシア事業を縮小

この記事の要約

ロシアに就航する航空会社各社が同国事業を縮小している。通貨ルーブル下落により運賃が高騰し、需要が大きく後退しているためだ。各社は運航本数の削減や目的地の絞込みなどで対応しているが、例年旅客数が減る10月以降は事業のさらな […]

ロシアに就航する航空会社各社が同国事業を縮小している。通貨ルーブル下落により運賃が高騰し、需要が大きく後退しているためだ。各社は運航本数の削減や目的地の絞込みなどで対応しているが、例年旅客数が減る10月以降は事業のさらなる縮小を余儀なくされるもよう。16日付の英字紙『モスクワタイムズ』が伝えた。

ロシア連邦空輸庁(ロスアヴィアチア)の統計によると、今年上半期にモスクワの空港を利用した外国航空会社旅客数は前年同期の570万人から460万人へと約24%減少した。激減する需要に対応して、すでにキャセイパシフィック、タイ国際航空、墺格安航空(LCC)ニキの3社がロシア発着便の運行を停止。英LCCイージージェット、エールフランス、独LCCエアベルリン、アラブ首長国連邦のエミレーツ航空は、便数を減らしたほか、運航機材を小型の航空機に変更した。また、独ルフトハンザ航空やフィンランド航空は地方都市線の運行を取りやめ、モスクワ、サンクトペテルブルグ発着便に集中しつつある。

墺ライファイゼンバンクのアナリスト、コンスタンチン・ユミノフ氏は、今後も国際航空会社によるロシア事業縮小が続くとみる。特にシーズンオフを迎える10月以降、その傾向が強まりそうだ。米デルタ航空はすでに、10月からのモスクワ発着便の運行停止を発表している。

一方、ロシア航空会社の上半期旅客数は15.2%減少した。外国キャリアほどではないものの、やはり需要減に直面している。

ロシアの通貨ルーブルは昨年、原油安を背景に対米ドル為替相場が40%下落。外国航空会社の運賃は外貨建てで設定されているため、ルーブルに換算した運賃の急騰を招いた。また、ルーブル安で外国旅行が全体として高くなり、国外へ出かけるロシア人も減少した。