2010/5/31

総合 –EUウオッチャー

伊が財政赤字240億ユーロ削減へ、公務員給与3年間凍結など

この記事の要約

イタリア政府は25日、2011~12年度に財政赤字を240億ユーロ削減する財政再建策を閣議決定した。財政赤字の圧縮はギリシャのほかスペインやポルトガルに続くもので、ギリシャの信用不安をきっかけにユーロ圏を中心にEU各国の […]

イタリア政府は25日、2011~12年度に財政赤字を240億ユーロ削減する財政再建策を閣議決定した。財政赤字の圧縮はギリシャのほかスペインやポルトガルに続くもので、ギリシャの信用不安をきっかけにユーロ圏を中心にEU各国の財政赤字に対して高まっている投資家の不信の払しょくを狙ったもの。

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削減規模は国内総生産(GDP)の約1.6%に当たり、これにより財政赤字を2009年のGDP 比5.3%から2012年にはEUが定めた上限の3%を下回る2.7%まで引き下げる。歳出削減では公務員の給与を3年間凍結し閣僚や政府高官の給与を引き下げるほか、一部の年金支給開始年齢を引き上げる。地方自治体に対する助成金も減らすため、学校や病院などへの支出削減は避けられないと見られている。一方で歳入増加のため地方自治体の協力により脱税取り締まりを強化し、ストックオプションや民間企業の幹部のボーナスに対する課税を引き上げる。

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イタリアの財政赤字比率はギリシャやアイルランド、スペインに比べると半分未満で、EU平均も下回っているが、公的債務残高はGDP比で昨年に約10%ポイント上昇して115.8%に達している。またイタリアの10年物国債の利回りはドイツ国債を1.38%上回っており(25日時点)、この利回り格差は年初のほぼ倍に拡大している。

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今回の財政赤字削減策に対して国内最大労組のCGILは労働者の負担が大きすぎて不公平として反発しストライキも辞さない構えで、ベルルスコーニ政権の支持率にも影響を与えそうだ。

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