2012/10/1

総合 –EUウオッチャー

3カ国がパイプライン建設で基本合意、カスピ海天然ガス輸送計画が前進

この記事の要約

欧州委員会は9月28日、アルバニア、ギリシャ、イタリアが27日にアゼルバイジャン産天然ガスを欧州に運ぶ「アドリア海横断パイプライン(TAP)」の建設に関する覚書に調印したことを明らかにした。3カ国政府の正式合意を経て、条 […]

欧州委員会は9月28日、アルバニア、ギリシャ、イタリアが27日にアゼルバイジャン産天然ガスを欧州に運ぶ「アドリア海横断パイプライン(TAP)」の建設に関する覚書に調印したことを明らかにした。3カ国政府の正式合意を経て、条件が整えば2014年にもギリシャからアルバニア経由でイタリアを結ぶ全長520キロのパイプライン建設が開始される。欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は声明で、「カスピ海の天然ガスを直接欧州に運ぶ構想を実現するうえで重要な一歩」と今回の動きを歓迎。今後はアゼルバイジャンと同様に有力な天然ガス供給国であるトルクメニスタンとの交渉を加速させたい考えを示した。

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EUはエネルギー分野におけるロシア依存からの脱却を図るため、同国を迂回してカスピ海の天然ガスを欧州に運ぶ「南回廊」構想を進めており、アゼルバイジャンおよびトルクメニスタンとの間で南回廊へのガス供給に関する話し合いを進めている。アゼルバイジャンは昨年1月、カスピ海沖の天然ガス田「シャーデニス(Shah Deniz)Ⅱ」から長期にわたり、相当量のガスを欧州向けに供給することで合意。英BPや仏トタルなどが参加する「シャーデニス・コンソーシアム」は今年初め、TAPを南欧向け輸送ルートの優先パートナーに選定している。

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ただ、南回廊ではTAP以外にトルコからブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経由してオーストリアまでの全長3,300キロを結ぶ「ナブッコ・パイプライン」、さらにトルコと南イタリアを結ぶ「ITGI」が計画されている。このうちナブッコのトルコ部分を除いた「ナブッコ・ウエスト」も今年初めにシャーデニス・コンソーシアムから中欧ルートの優先パートナーに選定されており、どのパイプラインにどの程度の天然ガスが供給されるかは今後数カ月以内に最終決定される見通しだ。

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