2012/12/17

産業・貿易

空港発着枠の二次取引制度導入、欧州議会が承認

この記事の要約

欧州議会は12日、域内空港の発着枠(スロット)の配分に関するルールの改正案を承認した。航空会社が余剰発着枠を売買できる仕組みを導入することで、発着枠の運用を効率化して慢性的な過密状態にある空港の旅客処理能力を改善するのが […]

欧州議会は12日、域内空港の発着枠(スロット)の配分に関するルールの改正案を承認した。航空会社が余剰発着枠を売買できる仕組みを導入することで、発着枠の運用を効率化して慢性的な過密状態にある空港の旅客処理能力を改善するのが狙い。

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EUでは英ヒースロー、仏オルリー、独フランクフルトなど5つの空港がすでに飽和状態となっており、何も対策を講じなければ今後20年以内に19の空港がパンク状態になるとみられている。このため欧州委員会は、1993年に導入された空港発着枠の配分に関するルールの見直しを進め、昨年12月に空港運営の効率化に向けた「空港パッケージ」と呼ばれる法案を発表。航空会社間で余剰発着枠を売買できる(二次取引)制度の導入や、航空会社に義務付ける発着枠の消化率を現行の80%から85%に引き上げることなどを提案した。

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欧州議会が今回承認した法案は、発着枠の二次取引制度の導入を認めるとともに、発着枠の配分プロセスの透明性を高めるため、発着枠の配分に関して決定権を持つ調整者(コーディネーター)の独立性を確保することや、発着枠が効率的に再配分されるよう、発着枠の返上が遅れた航空会社に対する罰則を設けることなどが盛り込まれた。一方、発着枠の消化率については現行の80%で据え置かれた。発着枠の消化率引き上げをめぐっては、発着枠を確保するため、需要がないにもかかわらず無理に便を維持するケースが増えるという理由で、今年10月に開かれたEU運輸相理事会でも反対する声が多数を占めていた。

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空港パッケージは今後、理事会で正式な審議にかけられ、その後は理事会と欧州議会との間で意見調整が行われる。

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