2014/2/3

産業・貿易

次回の銀行健全性審査の概要発表、自己資本比率5.5%が合格基準に

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は1月31日、2014年に実施する銀行のストレステスト(健全性審査)の概要を発表した。EU内の124銀行を対象に5月末をめどに開始する。様々なリスクを想定した上で、最悪の場合でも中核的自己資本比 […]

欧州銀行監督機構(EBA)は1月31日、2014年に実施する銀行のストレステスト(健全性審査)の概要を発表した。EU内の124銀行を対象に5月末をめどに開始する。様々なリスクを想定した上で、最悪の場合でも中核的自己資本比率が5.5%を上回ることが“合格”基準となる。結果は10月に公表する。

今回のストレステストは、ユーロ圏の銀行監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する制度が始動する11月を前に、銀行の経営状況を正確に把握し、問題のある銀行への対応を迅速に進めるための準備を整えるのが目的。信用や資金繰り、景気悪化などのリスクへの耐性を検証する。これらのリスクに関する向こう3年間のシナリオを設定し、ベースラインとなるシナリオの下で狭義の中核的自己資本比率が8%以上に保たれることが合格の前提となる。最悪のシナリオの場合でも同比率を5.5%以上に保つことができると判断された銀行が合格となる。合格基準は前回のテストの5%より厳しくなる。各種のリスクの算定方法やシナリオなど詳細は4月に公表する。

EUは信用不安対策の一環として、2010年から銀行のストレステストを実施しているが、資本調査だけでは銀行の健全性を総合的かつ的確に判断することはできず、調査結果と銀行が実際に抱えるリスクに大きな開きがあるとの指摘が多く、調査結果に対する市場の信頼性は低かった。実際に、10年に実施された1回目のテストでは、「不合格」となった銀行は7行にとどまったものの、合格と判断されたアイルランドの銀行がその後に資本不足に陥り、同国がEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請する事態に追い込まれた。

このためEBAは、次回のストレステストに先立って、各行の「資産」の質も審査することを決定。同審査は6月に完了の予定で、結果はストレステストの結果と合わせて10月末に発表される。