2014/2/3

環境・通信・その他

航空部門の排出規制で修正案、欧州空域外の適用除外は16年まで

この記事の要約

欧州議会環境委員会は1月30日、EU域内の空港を発着する航空機を対象とした温室効果ガス排出規制について、欧州空域外の飛行分を規制対象から除外する期間を2016年までとする修正案を承認した。20年まで欧州空域内の飛行分に限 […]

欧州議会環境委員会は1月30日、EU域内の空港を発着する航空機を対象とした温室効果ガス排出規制について、欧州空域外の飛行分を規制対象から除外する期間を2016年までとする修正案を承認した。20年まで欧州空域内の飛行分に限定して規制を適用するとした欧州委員会の原案に対し、空域外の飛行に対する適用除外の期間を4年短縮するという内容。欧州議会本会議とEU閣僚理事会で規制案について協議する。

EUは航空機から排出される温室効果ガスを抑制するため、2008年に航空部門を排出量取引制度(EU-ETS)に組み込む方針を決定。11年1月からEU域内の路線を結ぶ航空機に新規制を適用し、12年1月からは域内の空港を発着して域外と結ぶ国際線の航空機に対象を拡大した。しかし、国際間の合意がないまま域外の航空会社に域内ルールを適用するEUのアプローチに対し、米国、中国、インド、ロシアなどが国際法に抵触するとして強く反発。このため欧州委は12年11月、域内と域外を結ぶ国際線の航空機への規制の適用を一時凍結する方針を打ち出し、国際民間航空機関(ICAO)の主導で航空機の排出規制に関する国際的な合意をまとめるよう要求した。

昨年10月に開かれたICAO総会では、20年までに国際的な規制の枠組みを導入することで各国が合意し、16年の次回総会で具体的な内容を決定する方針を確認した。欧州委はこれを受け、14-20年まで欧州空域内の飛行分に限定してEU-ETSを適用する案を打ち出した。欧州経済領域(EEA)を結ぶ路線は従来通り、全行程が排出量取引の対象となるが、域外の都市と域内を結ぶ路線に関しては、EEAの領空を飛行する分のみに規制を適用するという内容で、たとえば東京とEU内の都市を結ぶ路線の場合、アジアやロシア上空などの飛行で排出された温室効果ガスは排出量取引の対象から除外される。

欧州議会のペーター・リーゼ議員は修正案の狙いについて、欧州空域外の飛行に対する適用除外の期間を短縮することで、国際的な規制の枠組みの構築に向けた議論を加速させると同時に、域内の航空会社が競争上、不利になる事態を回避することができると説明している。

これに対し、航空業界からは修正案に対する反対意見が出ている。域内の大手航空会社が加盟する欧州航空協会(AEA)は声明で「ICAO主導の国際的な合意が欧州航空輸送産業の競争力維持を確実にする唯一の道だ。EU-ETSをめぐる論争が今後も続いた場合、EUに拠点を置く航空会社は欧州空域外で第3国による報復措置に直面する恐れがある」と警告している。