欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/11/17

東欧・ロシア・その他

ロシアが完全変動相場制に移行、ルーブル防衛に限界

この記事の要約

ロシア中央銀行は10日、通貨ルーブルの変動に許容幅を設定する仕組みを廃止し、市場で相場が決まる完全変動相場制に移行すると発表した。当初は来年1月の実施を予定していたが、ルーブルの下落に歯止めがかからず前倒しを迫られた格好 […]

ロシア中央銀行は10日、通貨ルーブルの変動に許容幅を設定する仕組みを廃止し、市場で相場が決まる完全変動相場制に移行すると発表した。当初は来年1月の実施を予定していたが、ルーブルの下落に歯止めがかからず前倒しを迫られた格好だ。

中央銀行はこれまで、米ドルとユーロの通貨バスケットに対して許容変動幅を設け、これを超える変動に対しては介入を行ってルーブル相場の乱高下を抑える仕組みを採用してきた。しかし、ウクライナ情勢に収束の兆しが見えないことに加え、主要輸出品である原油価格の下落や欧米の経済制裁による国内経済への悪影響に対する懸念から、ルーブルは今年に入って対ドルで4割以上も下落。中銀は大規模な為替介入で買い支えてきたが、投機筋などの売り圧力が収まらず、許容幅の維持が困難になっていた。ルーブルの買い支えに中銀が投じた額は10月だけで約300億ドルに上り、市場介入の原資となる外貨準備高は同月末に4,286億ドルまで減少している。

ロシア中銀はルーブルの許容変動幅の撤廃について、「この決定によって、ルーブルは市場の要因によって決定され、中銀の金融政策の効果が高まるとともに物価を安定させる」と説明した。同時に、ナビウリナ中銀総裁は10日、必要な額の介入をいつでも実施する用意があると表明。この発言を受け、ルーブルの対ドルレートは一時、3%以上も上昇した。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)に出席するため北京を訪れていたロシアのプーチン大統領は、「投機によるルーブル相場の大幅変動が見られるが、これは近く終わるだろう。相場変動はファンダメンタルな経済的要因と無関係だ」と語り、自国通貨の安定化に自信を示した。