欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/16

総合 – 欧州経済ニュース

ギリシャ財政改革めぐる実務協議開始、調整は難航必至

この記事の要約

ギリシャがEUによる金融支援延長の条件として実施する財政改革の詳細を詰める実務協議が11日、ブリュッセルのEU本部で開始された。ギリシャは4月末までに承認を取り付ける必要があるが、改革案をめぐるEUとの溝は大きく、協議は […]

ギリシャがEUによる金融支援延長の条件として実施する財政改革の詳細を詰める実務協議が11日、ブリュッセルのEU本部で開始された。ギリシャは4月末までに承認を取り付ける必要があるが、改革案をめぐるEUとの溝は大きく、協議は難航が予想される。

ギリシャとEUは2月下旬、同月末が期限だった金融支援を4カ月延長することで合意した。ただ、ギリシャは現行支援の枠組みに沿った財政改革を進めることを求められる。ギリシャ政府は脱税、汚職、たばこなどの密輸への対策強化、歳出抑制などを盛り込んだ改革案のリストをまとめ、2月24日に基本承認されたが、4月末までに詳細を固め、承認を受けなければ、現行支援で最後となる72億ユーロの融資は実行されない。

11日に始まった実務協議では、ギリシャ政府と「トロイカ」と呼ばれる欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表が具体的な改革案について話し合う。ギリシャは6日、具体案の一部を提示したが、脱税対策として学生や観光客などを雇って隠密チームを結成し、カメラや記録機器などを持たせて商店などの脱税の証拠を集めさせるという場当たり的な案が含まれており、EU側は包括的かつ具体的な構造改革を求めている。

これに対してギリシャ側は、新政権が総選挙で公約した緊縮策放棄を実現できず、支援延長のため大きく譲歩した経緯があるだけに、国民の反発を招くような大胆な改革に踏み切ると政権基盤が揺らぎかねない。このため双方が受け入れ可能なギリギリの線での妥結を模索しているが、こうした姿勢にEU側は苛立ちを募らせており、欧州委のユンケル委員長は13日、「ここ数週間の動きに満足していない。十分な進展があったとは思えない」とギリシャ側の対応に不満を表明した。