欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/5/11

西欧

エリクソンが欧州3カ国でアップル提訴、LTE特許使用料めぐる紛争拡大

この記事の要約

スウェーデンの通信機器大手エリクソンは8日、同社が開発した携帯端末の高速無線通信技術であるLTE関連の特許使用料をめぐり、新たにドイツ、英国、オランダで米アップルを提訴したと発表した。米国では今年に入り、LTE関連特許を […]

スウェーデンの通信機器大手エリクソンは8日、同社が開発した携帯端末の高速無線通信技術であるLTE関連の特許使用料をめぐり、新たにドイツ、英国、オランダで米アップルを提訴したと発表した。米国では今年に入り、LTE関連特許をめぐって両社が相互に提訴する事態に発展しており、訴訟が欧州に飛び火したことで全面対決の様相を呈してきた。

LTEは第4世代携帯電話(4G)の通信規格で、従来より圧倒的に速度が速く、大量のデータを一度に送受信できるのが特徴。エリクソンが開発したLTE技術はスマートフォンやタブレット端末に広く使用されており、アップルもiPhoneなどの自社製品に同技術を採用している。

しかし、アップルはライセンス契約の更新にあたり、エリクソンが保有するLTE関連特許は標準必須特許ではないにもかかわらず、同社は不当に高い特許使用料を要求していると主張。今年1月、カリフォルニア州北部連邦地裁にエリクソンの特許が標準必須特許かどうかの判断を求める訴訟を起こした。エリクソンはこれを受け、ただちにアップルを逆提訴。テキサス州東部連邦地裁に対し、同社がアップルに提示したライセンス契約が「公平、妥当、非差別的(FRND)」条件に基づく適切なものであることの確認を求めている。

エリクソンによると、同社はアップルに対しグローバルな特許ライセンス契約に向けて和解条件を提示したが、回答期限を過ぎたため、欧州での訴訟に踏み切ったと説明している。カシム・アルファラヒ最高知的財産責任者(CIPO)は「アップルは使用許諾が失効した後も、引き続き当社の特許技術を利用して利益を得ている」と指摘。「問題解決に向けてドイツ、英国、オランダの裁判所が公正な判断を下してくれると確信している」と述べた。

エリクソンの特許をめぐっては、韓国サムスン電子が昨年初めにすべての訴訟で和解に応じ、6億5,000万ドルに上る一時金のほか、複数年にわたり相応の特許使用料を支払うことで合意した。この時の和解条件をもとに、アナリストの間では仮にアップルがエリクソンに敗訴した場合、同社は年間20~60億スウェーデンクローナ(2億4,000万~7億2,500万ドル)の支払いを求められるとの見方が出ている。