2010/7/21

総合・マクロ

ユーロ防衛基金運用開始へ、スロバキア政府が承認

この記事の要約

スロバキア政府は15日の閣議で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う制度への参加を承認した。参加国の中で唯一、抵抗を続けていたスロバキアが承認手続きを済ませたことで、金融支援の中核となる4,400億ユーロの「 […]

スロバキア政府は15日の閣議で、財政危機に陥ったユーロ参加国に緊急金融支援を行う制度への参加を承認した。参加国の中で唯一、抵抗を続けていたスロバキアが承認手続きを済ませたことで、金融支援の中核となる4,400億ユーロの「欧州金融安定基金(EFSF)」が近く運用可能となる見通しだ。

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EUが5月に合意した緊急金融支援制度は、ギリシャ危機が飛び火して深刻な資金難に陥る国が出てきた場合に、迅速に融資を行い危機拡大を防ぐのが狙い。「ユーロ防衛基金」と呼べる同制度は総額7,500億ユーロ規模で、EUが5,000億ユーロ、国際通貨基金(IMF)が2,500億ユーロを負担する。

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EU主体の基金で柱となるのが、ユーロ圏各国の政府保証による総額4,400億ユーロ規模のEFSF。各国の負担額は欧州中央銀行(ECB)への拠出額に応じて決まる。ユーロ圏16カ国のほかスウェーデン、ポーランドが自主的に参加する。もうひとつの600億ユーロの基金は、欧州委員会がEU予算を担保とする債券発行で資金を調達し、非ユーロ圏の加盟国を対象とする既存の緊急支援枠を500億ユーロから1,100億ユーロに拡大し、ユーロ圏諸国も支援できる形とするもの。こちらはすでに始動している。

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EFSFの発足には、拠出国の議会の承認が必要だが、2009年にユーロに参加し、43億7,000万ユーロを拠出するスロバキアの手続きが遅れていた。6月の総選挙を経て発足したラディツォバー新首相率いる中道右派の新政権が、他国の放漫財政のつけをスロバキア国民の税金で払うことに難色を示したためだ。しかし、EU域内の銀行に対するストレステスト(健全性審査)の結果を23日に公表するEUは、結果次第で市場が動揺する事態に備え、EFSFというセーフティーネットを用意しておきたかった。ファンロンパイEU大統領がラディツォバー首相と会って早急な承認を求めるなど圧力をかけ、ようやく同意を取り付けた。

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なおスロバキア議会の承認が必要となるが、議会で与党は過半数を押えていることから、問題なく手続きが終わる見通しだ。

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一方、スロバキアは、財政危機の震源地であるギリシャに対して、EU がIMFと協調して向こう3年間で総額1,100億ユーロの緊急融資を行う制度についても、8億ユーロの拠出を拒んでいる。これについて政府は、なお抵抗の姿勢を維持しているが、すでに同融資は一部が実行されており、大きな問題とはなっていない。

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