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2014/3/26

チェコ・スロバキア

米アマゾン、チェコの物流拠点設置撤回へ

この記事の要約

チェコ・ブルノ市議会は18日、米アマゾンの物流拠点建設に向けた用地売却について3度目の採決を行った。しかし、議員55人のうち保留・欠席が27人に上り議決要件を満たさなかったため、今回も承認されなかった。アマゾン側は事前に […]

チェコ・ブルノ市議会は18日、米アマゾンの物流拠点建設に向けた用地売却について3度目の採決を行った。しかし、議員55人のうち保留・欠席が27人に上り議決要件を満たさなかったため、今回も承認されなかった。アマゾン側は事前に今回の採決で許可されなければ計画を撤回すると予告しており、ブルノでの立地の可能性は消えた。ムラーデク産業相によると、チェコ投資庁(チェコインベスト)は他の候補地として、すでにオストラバなどを推薦したという。また、隣国スロバキアも誘致のチャンスとみて投資優遇措置の提示に動き始めたもようだ。

ブルノ市ではアマゾン進出反対派が、トラック交通量の増加で生活環境が悪化すると訴えていた。このため、交渉ではまず、迂回道路の建設が議題となった。アマゾン側が道路建設費の7割負担で折れたが、今回の採決では建設予定地の土地利用計画の変更手続きが完了していないという形式上の問題が障害となった。

アマゾンはブルノ郊外に27億コルナ(9,854万ユーロ)を投じて、市有地に面積9万5,000平方メートルの倉庫を建設する計画だった。高失業率が問題となっているブルノ地域で1,500人の雇用が生まれると見込まれていただけに、ブルノのオンデルカ市長もチェコのソボトカ首相も失望の意を表明している。

一方、やはりアマゾンが拠点設置を予定しているプラハ近郊のドブロヴィツでは、住民投票の結果をくつがえして中央ボヘミア州当局が計画を承認した。基本合意した迂回道路の建設など詳細を詰める段階まで達しているもようだ。アマゾンは昨秋、ポーランドの3カ所とチェコの2カ所に物流センターを設置すると発表した。ドイツ市場向け業務の一部を移管する方向だ。ドイツ労組による賃上げ要求を嫌って東欧の隣国にドイツの物流拠点を移すのではという憶測については、そのような意図はないと否定している。