2014/4/30

総合・マクロ

英インペリアル・タバコ、ポーランドに生産移管

この記事の要約

世界第4位のたばこ会社である英インペリアル・タバコは15日、英国とフランスの工場を2年以内に閉鎖すると発表した。ポーランド工場に生産を移管するほか、ドイツ工場での生産も検討する。2018年9月までに年間経費を3億ポンド( […]

世界第4位のたばこ会社である英インペリアル・タバコは15日、英国とフランスの工場を2年以内に閉鎖すると発表した。ポーランド工場に生産を移管するほか、ドイツ工場での生産も検討する。2018年9月までに年間経費を3億ポンド(3億6,000万ユーロ)引き下げる計画の一環で、英仏両国における人員削減はおよそ900人に上る見通しだ。

閉鎖されるのは、イングランド中部のノッティンガム工場と仏北西部ナント近郊のカルクフー工場で、それぞれ540人、320人が働いている。インペリアル・タバコによれば、今期の稼働率はノッティンガム工場で47%、カルクフー工場で43%にとどまる見通しだ。

フランスではペルジュラック研究開発センターの閉鎖や営業・顧客サービス部門の再編でさらに120人が削減される可能性もある。また、リオン工場も、生産品目である香料入りたばこが2018年までに欧州連合(EU)で全面禁止されることから、関係者は閉鎖を懸念している。

インペリアル・タバコは今回の措置について、主要市場であるEUでたばこ規制が強化され、出荷量が減少したと指摘。今後も規制が厳しくなる見通しであることから、事業再編に踏み切ったと説明した。ただ、13年9月期の売上高は値上げなどにより前期比1%減にとどまり、営業利益(調整済み)は1%増と前期並みを確保している。このため、労組側は規制は生産移管の口実に過ぎないと批判している。

インペリアル・タバコはダビドフ、JPSなどのブランドで知られる。ポーランドでは西部ポズナニ近郊のタルノボ・ボドグルネと、ワルシャワの南100キロメートルに位置するラドムで工場を操業する。

カルクフー工場の閉鎖により、フランスの伝統ブランド「ゴロワーズ」、「ジタン」は本国における生産を完全に終了する。また、ノッティンガム工場が閉鎖されると、英国でたばこを生産するのは日本たばこの北アイルランド工場を残すのみとなる。

欧州におけるたばこ販売数は年2~3%のペースで減少している。これを東欧など新興諸国が補っている格好だ。世界全体でみると、人口増加が喫煙率低下をカバーし、市場は現状を維持できると予想される。