2014/7/30

総合・マクロ

日本政府、対ロシア制裁を強化

この記事の要約

日本政府は28日、ロシアに対する制裁を強化する方針を明らかにした。ウクライナ東部におけるマレーシア航空機墜落事件後の状況を受けたもので、個人や団体の国内資産凍結などを予定している。ロシア外務省は「非友好的かつ近視眼的措置 […]

日本政府は28日、ロシアに対する制裁を強化する方針を明らかにした。ウクライナ東部におけるマレーシア航空機墜落事件後の状況を受けたもので、個人や団体の国内資産凍結などを予定している。ロシア外務省は「非友好的かつ近視眼的措置」と批判している。

政府は制裁拡大の理由として、ロシアのクリミア半島併合に加え、ウクライナ東部の戦闘終結に向けたロシア政府の努力が不十分であることを挙げている。クリミア併合やウクライナ東部で親ロシア勢力を支援している個人や団体に、国内資産凍結などの制裁を課すほか、◇欧州復興開発銀行(EBRD)にならい、ロシアにおける新規プロジェクトへの投資凍結◇クリミア産製品の輸入制限――も実施する。

ロシア外務省は29日、日本の措置について、「ウクライナ紛争の原因を誤って解釈した結果」であり、両国間の外交努力を水の泡にするものとコメント。「日本は対ロシア関係の発展に向けた努力を続けると繰り返し約束していたが、これが絵空事に過ぎないことが明らかになった」、「米国の方針を踏襲するのみで、国益に沿った独自の政策を実施する能力に欠けていることを示した」と非難した。

日本はロシアがクリミアを併合した直後の3月18日に制裁措置を発動。査証手続き簡易化に向けた交渉を中断したほか、投資協定、宇宙協定、危険な軍事活動の防止に関する協定の締結交渉の開始も凍結した。

■経済の損害1,000億ユーロ、EUの制裁強化で

欧州連合(EU)は29日●、ロシアに対する制裁を拡大することを決定した。EU筋によると、追加的制裁措置によるロシア経済の損害額は来年までに1,000億ユーロ弱に上る見通しだ。これにより、今年はロシア国内総生産(GDP)の1.5%(230億ユーロ)、来年は4.8%が失われる計算になるという。

一方、EUが被る影響も900億ユーロに上るが、GDP比でみると今年0.4%、来年0.3%と比較的小さい。

制裁強化では、●◇金融制裁◇兵器禁輸◇軍事転用可能な民生品(デュアルユース)の禁輸◇エネルギー分野向けを含むハイテク技術の輸出制限●――が決定された。また、制裁リストに14人・団体を追加する(名前は未発表)。