2015/3/4

総合・マクロ

ヒポ・アルペ銀の受け皿機関清算へ、新たな資金不足発覚で

この記事の要約

オーストリア政府は1日、国有化したヒポ・アルペ・アドリア銀行の受け皿機関ヘタ・アセット・レゾリューションを清算すると発表した。年初に発効した新しい銀行清算手続き法を適用することで債権者にも負担を求める。これにより、財政へ […]

オーストリア政府は1日、国有化したヒポ・アルペ・アドリア銀行の受け皿機関ヘタ・アセット・レゾリューションを清算すると発表した。年初に発効した新しい銀行清算手続き法を適用することで債権者にも負担を求める。これにより、財政への負担にストップをかける狙いだ。

ヘタはヒポ・アルペ銀の不良資産(簿価180億ユーロ相当)を処理する目的で昨年設立された。しかし、最新の財務調査で新たに76億ユーロの資金不足が発覚。金融市場監督庁(FMA)は1日同社に対し、来年5月末まで債務返済を凍結するよう命じた。オーストリア政府はこれまでヒポ・アルペ銀の救済に総額56億ユーロを支出してきたが、新たな資金注入は行わない。

オーストリアは昨年、欧州の銀行再建・破たん処理法(2014/59/EU、BRRD)を国内法に転換し、銀行清算時に株主や債権者に負担を強制できる新法を制定した。今回のヘタ清算では、この法律の適用を念頭に置いている。ただ、ヒポが法の定める銀行に当たるかどうかなど、処理が順調に進むかどうかは不透明だ。独バイエルン州立銀行の債権額は約8億ユーロに上る。

ヘタが倒産する形をとると、政府保証の枠内でオーストリア政府は1億ユーロ、南部ケルンテン州は100億ユーロを補てんする義務を負う。この場合、ケルンテン州は財政破たんする恐れがある。

ヒポ・アルペ銀は南東欧など12カ国で事業を展開していたが、2008年の金融危機を機に財務が悪化。09年に国有化された。この措置については昨年12月、オーストリア議会が設置した調査委員会が「国有化以外の選択肢もあり、問題があった」との調査結果を発表している。(東欧経済ニュース2014年10月1日号「ヒポ・アルペ銀の南東欧事業、今月中に売却先決定」を参照)