2015/7/8

総合・マクロ

ハンガリー、難民受け入れを事実上停止

この記事の要約

ハンガリー議会は6日、移民法改正案を圧倒的多数で可決した。亡命申請規則の厳格化や、移民流入を阻止する柵をセルビアとの国境に設置する計画を含む内容で、難民問題に対する政府の強硬姿勢が鮮明となった形だ。一方、政府が先月23日 […]

ハンガリー議会は6日、移民法改正案を圧倒的多数で可決した。亡命申請規則の厳格化や、移民流入を阻止する柵をセルビアとの国境に設置する計画を含む内容で、難民問題に対する政府の強硬姿勢が鮮明となった形だ。一方、政府が先月23日から同国で亡命申請した外国人の再受け入れを停止していた問題については、6日から受け入れを再開した。

改正難民法は、亡命申請者が「安全な第3国」を経由してハンガリーに入国した場合、政府に申請を却下する権限を認めている。ウクライナを除く隣国は全て「安全」とされており、これらの国から越境した外国人は審査作業を経ずに国外退去させることが可能だ。ほかにも亡命申請の審査にかける時間の短縮や、移民の一時収容などを認めている。

また、セルビアからの違法入国を防ぐ目的で、総延長175キロメートル、高さ4メートルの柵を設置する計画についても用地接収の手続きを定めた。

改正難民法に対し、国際連合(UN)や欧州評議会などの国際機関は批判を強めている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の中欧事務所は、「ハンガリーでは国際法に定める難民保護が受けられなくなる」と指摘。改正法は「道徳と根本的な人間性を欠き」、ハンガリーが国際条約で受け入れた義務を反故にするものと強い語調で非難した。

なお、ハンガリーは6日、同国で亡命申請を行った外国人の再受け入れを再開した。欧州法は、難民が最初に足を踏み入れた欧州連合(EU)加盟国が、認定手続きや社会への受け入れを担当することを定めている。このため、ハンガリーが先月23日、「技術的理由」で一方的に受け入れを停止したことについては他の加盟国から非難の声があがっていた。