2015/7/8

総合・マクロ

東欧経済成長予測、欧州とCISで明暗=WIIW

この記事の要約

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)は2日、最新の東欧経済予測を発表した。欧州連合(EU)加盟国を中心とする東欧諸国の予想成長率を引き上げた一方で、独立国家共同体(CIS)加盟国については厳しい見通しを表明。南東欧諸国 […]

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)は2日、最新の東欧経済予測を発表した。欧州連合(EU)加盟国を中心とする東欧諸国の予想成長率を引き上げた一方で、独立国家共同体(CIS)加盟国については厳しい見通しを表明。南東欧諸国ではギリシャ問題の混迷が悪影響を及ぼす可能性があると指摘している。

EUに加盟する東欧11カ国の今年の予想成長率は、前年比0.2ポイント増の平均3%。3月の春季予測から0.3ポイント上方修正した。経済回復が従来の見通しより1年早まることになる。ユーロ圏経済の実績が期待以上だったことが予測を押し上げた。

ブルガリアとルーマニアを除くバルカン諸国(西バルカン諸国)も小幅ながら上方修正となった。

国別では、ポーランドが3.5%と最も高い予想で、ハンガリーとルーマニアがそれぞれ3%で続く。スロバキアは2.9%、チェコとブルガリアは各2.6%となっている。昨年0.4%減だったクロアチアは0.4%の成長に転換する。

一方、ベラルーシとカザフスタン、ロシア、ウクライナの展望は暗い。戦火に揺れるウクライナは春季予測の5%減から10.5%減へと大幅に下方修正。ロシアも3.8%減から3.9%減へと見通しが暗くなっている。

■ギリシャ危機の影響

ギリシャの債務危機が悪化すれば、ギリシャの銀行の国外子会社が経営難に陥る可能性がある。該当するのは、アルバニア、ブルガリア、マケドニア、ルーマニア、セルビアなどだが、子会社は各国の自己資本規定を満たしており、親会社の危機が直接子会社に波及することはない。ただ、取り付け騒ぎが起きれば状況は難しくなる。

アルバニアとブルガリア、マケドニアは、ギリシャとの貿易の比重が比較的高いが、取引が減ってもその影響は限定的だ。

ギリシャ政府が債務不履行(デフォルト)に陥ったとしても、「彗(すい)星が落下」(WIIW)するような被害はないとみている。