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2015/3/11

経済産業情報

ドイツ取引所とNYSEの合併禁止は妥当=欧州一般裁

この記事の要約

NYSEユーロネクストとの合併計画を欧州連合(EU)の欧州委員会が承認しなかったのは不当としてドイツ取引所が提訴していた係争で、欧州司法裁判所(ECJ)の一般裁判所は9日、訴えを退ける判決(訴訟番号:T-175/12)を […]

NYSEユーロネクストとの合併計画を欧州連合(EU)の欧州委員会が承認しなかったのは不当としてドイツ取引所が提訴していた係争で、欧州司法裁判所(ECJ)の一般裁判所は9日、訴えを退ける判決(訴訟番号:T-175/12)を下した。判決理由で裁判官は、欧州委の決定に誤りはなかったと指摘。独禁審査に際して上場デリバティブ(ETD)市場と店頭デリバティブ取引(OTC)市場を区別した欧州委の措置は不当だなどとするドイツ取引所の主張を退けた。同社は控訴を検討するとしている。

ドイツ取引所とNYSEは2011年2月に合併合意した。欧州委はドイツ取引所が先物取引などを扱うユーレックスを、NYSEがロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)をそれぞれ傘下に持ち、合併後の新会社が欧州のデリバティブ取引市場で90%以上のシェアを握る点を問題視。10月に当初の計画のままでは合併を認めることはできないとする異議告知書を双方に送付した。

これを受けて両社は11月、デリバティブ関連事業の一部売却を軸とする妥協案を提示し、欧州委は市場参加者の意見を聞きながら慎重に検討を進めていた。ドイツ取引所とNYSEは合併を通じてデリバティブの流動性が高まり、顧客の利益につながると主張したが、欧州委はデリバティブの取引所取引で勢力を二分するユーレックスとLIFFEの合併を認めれば深刻な市場独占が形成され、競争相手がなくなることで手数料が上昇するなどの弊害が生じる恐れがあると指摘。提案された事業売却もLIFFEのエクイティ・デリバティブなどごく一部に限定されており、競争法上の懸念を払拭するものではないとして、「合併を阻止する以外の選択肢はない」と結論づけた。

両社はこれを受けて12年2月に合併計画を撤回。ドイツ取引所は3月に提訴した。