クラウドコンピューティングの企業利用率が昨年ドイツで44%に達し、前年の40%から4ポイント増えたことが、独情報通信業界連盟(Bitkom)とコンサルティング大手KPMGが6日に共同発表したアンケート調査報告で分かった。クラウドを肯定評価する回答が否定的な回答を初めて上回っており、利用のすそ野は着実に広がっている。
クラウド利用率は大企業ほど高く、従業員数500人以上の企業では70%に達した。同100~499人は52%で、100人未満は41%だった。
クラウドの種類別では、企業が自らシステムを構築して利用するプライベートクラウドがアンケート対象企業全体の39%を占め、外部企業のサービスであるパブリッククラウドは同16%にとどまった。パブリッククラウドへの懸念では「重要データへの攻撃」との回答が最も多く、60%に上った。これに「データ喪失」(49%)、「問題が起きた時の法的な責任問題が不明確」(40%)が続いた。
「クラウドサービスプロバイダーを選定するにあたって譲れない基準は何ですか」との質問では「データセンターが欧州連合(EU)法の適用領域内にあること」との回答が最も多く、74%に達した。米国家安全保障局(NSA)による大規模なネット監視が発覚して以来、EU域外にデータを保存することへの警戒が強まっていることが背景にあり、「プロバイダーの本社がEU法の適用領域にあること」も67%に上った。